日本初の「飲む中絶薬」審議見送り 理由はパブリックコメント数の多さ

 厚生労働省は24日、分科会で予定されていた飲む中絶薬「メフィーゴパック」の薬事承認についての審議を見送ると発表した。理由は2月に募集していた承認についてのパブリックコメントが想定をかなり上回る数集まり、分析に時間がかかっているためという。部会の開催当日に審議内容が取り下げられるのは異例だ。

「なるべく早い時期に審議を」

 現在日本における人工妊娠中絶の手法は手術しかなく、諸外国と比べても選択肢がなく遅れていると言われている。飲む中絶薬「メフィーゴパック」はそうした状況を打破するもので、妊娠9週までの妊婦を対象とし、妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える薬「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させるはたらきがある薬「ミソプロストール」を組み合わせて服用することで中絶するもの。日本の女性120人が参加した治験の結果では、服用8時間後までに90%、24時間後までに93.3%が中絶できていたという。この結果を受け1月に開催された専門家で構成する専門部会では「承認して差し支えない」と結論づけている。厚労省では社会的影響が大きいとして、薬事承認可否を決める分科会の開催前にパブリックコメントを受け付けていた。

 同省によると、先月いっぱいで締め切られたパブリックコメントは約12,000件寄せられており、想定の100倍だという。当日の分科会で担当者は「賛成と反対だけでなく、医薬品の流通管理や緊急対応のあり方などさまざまなご意見をいただいた。分析に時間を要しており、議題は次回以降に延期する」と述べた。ただ、パブリックコメントにおける賛成の数は反対の2倍程度上回っているとしている。

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