茨城・笠間の海軍航空隊跡地の地下遺構 保存を県に提言 検討委 

検討委員会中、地下遺構見学の機会が設けられた=笠間市旭町の筑波海軍航空隊跡地

茨城県笠間市の筑波海軍航空隊旧司令部庁舎の周囲に存在する地下遺構について、専門家や県、市の関係者でつくる検討委員会は24日、戦争記憶を継承する遺構として、施設を所有する県に対し保存を提言した。同委員長で筑波大教授の伊藤純郎氏(日本近現代史)は「全委員から賛同を受け、大きく前進した。地下遺構の安全確保など中長期的な課題を捉え、保存と公開に向けて議論を重ねていきたい」と意欲を示した。

航空隊跡地は、現在の県こころの医療センターの敷地内にある。旧庁舎は航空隊発足時の1938(昭和13)年に建てられた。老朽化のため、2011年に取り壊しが決まったが、映画「永遠の0」のロケ地となったことで脚光を浴び、解体は延期された。現在は市が建物を借り受け、地域振興に取り組む会社「プロジェクト茨城」が記念館を運営している。

県の調査は2月18日から3月11日にかけて、地下室などの遺構を事前に確認した庁舎北側を中心に、プロジェクト茨城に業務委託する形で行われた。

検討委は伊藤氏を含め12人で構成。24日に記念館で開かれた会合では、委員でプロジェクト茨城代表の金沢大介氏が調査結果を報告した。掘削により発見された大型舗装道路(幅約9メートル)や防火水槽、門柱などについて説明した。地下室近くの地中から、海軍士官用の食器、ガスマスク、ゼロ戦の点火プラグなど500点以上の埋蔵物が確認されたという。

金沢氏は「地下遺構は戦後80年近くも当時の形状をとどめており、全国的にも珍しいケース」と評価した。また、委員による現場の見学も行われた。

終了後、委員で県営業企画課長の久保三千雄氏は「平和教育の拠点としていくため、病院サイドともきちんと擦り合わせを行い、議論を進めたい」と話した。

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