【メジャーリーグを知ろう!】ヌートバー所属・カージナルスはこんなチーム

WBC優勝後大谷翔平と家族と記念撮影するヌートバー @Getty Images

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、14年ぶり3度目の優勝を果たした侍ジャパン。その侍ジャパンをリードオフマンとして、ムードメーカーとして引っ張ったのは、初めて日系外国人選手として侍ジャパンに加わったラーズ・ヌートバーだった。

栗山英樹監督(当時)の「もう100%で全員が好きになる」のコメントのように、今回のWBCでヌートバーを好きになり、そしてWBCが終わってしまったことによる”ヌートバーロス”から、「今季はヌートバーのいるカージナルスを追いかけてみたい」と思った方もいらっしゃるのではないだろうか。

今回はそんなカージナルスについて紹介したい。

カージナルスの本拠地ブッシュスタジアム 写真はホームランを放ったヌートバー @Getty Images

《注目ポイント①》
新正捕手コントレラス、メジャーを代表するスーパースターであるゴールドシュミットやアレナードらは、どのようにチームを引っ張って行くのだろうか。

◆常勝軍団も歴史に一区切り。だが今季も優勝候補筆頭は変わらず。
カージナルスほど「常勝軍団」という言葉が似合うチームもなかなかないだろう。21世紀以降の22シーズンで負け越しは1度のみ、ポストシーズン出場15度はナ・リーグ最多とリーグを代表する強豪チームで、昨季もナ・リーグ中地区優勝を果たした。

ただ、2000年代に主砲としてチームを支え、現役最終年にチームに復帰したアルバート・プホルスと、19シーズンに渡りカージナルス一筋でチームを支えた名捕手・ヤディアー・モリーナが昨季限りで引退。球団史、ひいては球界史に名を残す2人の引退で、名門球団の歴史にも一区切りがついた。

昨季限りで引退したアルバート・プホルス&ヤディアー・モリーナ @Getty Images

だが、モリーナに代わる正捕手にはオールスター3度選出と実績十分のウィルソン・コントレラスが新加入。コントレラスに加えアメリカ代表でも3・4番を務めたポール・ゴールドシュミット&ノーラン・アレナドの主砲コンビら、新たなチームリーダー達の下でカージナルスは新時代を迎えることになる。

昨季ナ・リーグMVPファイナリストのアレナド(左)とゴールドシュミット(右)@Getty Images

《注目ポイント②》
ヌートバーは熾烈なレギュラー争いを勝ち抜き、レギュラーの座を掴むことができるだろうか。

日本でも認知度が急激にアップしたラーズ・ヌートバー @Getty Images

◆アメリカ代表でも3・4番を務めたコンビは超強力。外野は熾烈なレギュラー争いに。
昨季の野手陣は、ポール・ゴールドシュミット、ノーラン・アレナードの3・4番コンビがナ・リーグMVP投票でファイナリスト(トップ3)入り、韓国代表のリードオフマンも務めたトミー・エドマンも地味ながらも堅守を武器にベースボール・リファレンス版の総合指標WARでメジャー10位(野手)に入る大活躍を見せた。一方で規定打席に到達したのはこの3人のみで、不振に陥った元レギュラー選手と、日本代表で大活躍を見せたラーズ・ヌートバーら新進気鋭の若手選手らが出場機会を競い合うポジションも多かった。

今季もレギュラーが保証されるのはゴールドシュミット、アレナード、エドマンに新加入の正捕手コントレラスを加えた4人くらいで、残りのポジションは熾烈な争いになりそうだ。ヌートバーも例外ではなく、昨季ゴールドグラブ賞・ユーティリティ部門を獲得したブレンダン・ドノバン、2021年に34本塁打も昨季は14本塁打に終わったタイラー・オニール、チーム1位のトップ・プロスペクト(若手有望株)のジョーダン・ウォーカーらとの激しいレギュラー争いに加わることとなる。

《注目ポイント③》
ウェインライトは200勝、そして210勝を達成できるだろうか。正捕手交代によるチーム全体の投手成績の変化にも注目。

今季限りで引退を表明しているウェインライト @Getty Images

◆まだまだ元気な大エースも今季限り。有終の美を飾れるか。新正捕手と投手陣の相性も要注目。

昨季の先発陣は、40歳を迎えたアダム・ウェインライトが衰え知らずで防御率3.71で190イニングをクリア、故障から復活を遂げたマイルズ・マイコラスが4年ぶりの200イニングクリアと、アメリカ代表の2人のベテランの活躍が光ったほか、トレードで8月からローテーションに加わったジョーダン・モンゴメリーやホセ・キンタナも好投を見せた。一方でFA新加入のスティーブン・マッツや近年故障続きのジャック・フラハティら故障者も多く、規定投球回を投げたのはウェインライトとマイコラスの2名のみだった。

オフシーズンにはキンタナがFAで移籍するも、ウェインライトとの再契約以外は目立った補強なし。今季のローテーションはマッツやフラハティらが故障なくシーズンを過ごせるかがカギとなりそうだ。

ちなみに、ウェインライトは今季限りでの引退を表明している。あと5勝と迫っている通算200勝、そして自身が目標に掲げる球団史上2位となる通算210勝を達成できるかは要注目だ。

守護神ヘルスリー(左)WBC日本戦での登板したガイエゴス(中)パランテ(右)@Getty images

ブルペン陣は最速で時速104.2マイル(約168キロ)の速球を武器に、昨季防御率1.25で19セーブとブレイクしたライアン・ヘルスリーが守護神を務める。ヘルスリーに繋ぐ中継ぎ陣にはメキシコ代表ジオバニー・ガイエゴス、イタリア代表アンドレ・パランテら、WBC日本戦で登板した投手が複数名を連ねる。

なお、カージナルス投手陣にとっては初めて「正捕手がモリーナではないシーズン」となる。新正捕手・コントレラスが前任者のような絶対的な信頼関係を築けるかも要注目だ。

と、ここまでの3つのポイントに注目して、今シーズンのカージナルスを楽しんでほしい。メジャーリーグ開幕は、日本時間3月31日。カージナルスの開幕戦は、菊池雄星が所属するブルージェイズと、日本時間5:10にプレイボール。

”ヌートバーロス”の皆さん、メジャーリーグで引き続きヌートバーの活躍を目撃しませんか?

ちなみに、カージナルスからは、下記の13名がWBCに出場している。
イタリア:アンドレ・パランテ(救援)
パナマ:イバン・ヘレーラ(捕手)
日本:ラーズ・ヌートバー(外野手)
韓国:トミー・エドマン(内野手)
アメリカ合衆国:ノーラン・アレナド(内野手)、ポール・ゴールドシュミット(内野手)、マイルズ・マイコラス(先発)、アダム・ウェインライト(先発)
メキシコ:ジオバニー・ガイエゴス(救援)、ジョジョ・ロメロ(救援)
コロンビア:ギレルモ・スニガ(救援)
カナダ:タイラー・オニール(外野手)
ドミニカ共和国:ヘネシス・カブレラ(救援)

© 株式会社SPOTV JAPAN