アフリカからベルギーへ流れ着いた偽りの姉弟 じゃれ合う2人の温かな姿 「トリとロキタ」本編映像

2023年3月31日より劇場公開される、カンヌ映画祭のパルムドールを2度受賞しているジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作「トリとロキタ」から、学校から帰るトリと迎えにきたロキタの仲むつまじい姿を捉えたシーンの、本編映像が公開された。

学校に迎えに来たロキタに、“好きな人の絵を描く”という課題にロキタの絵を描いたことを報告するトリ。しかし、トリがリュックから取り出した絵の少女の髪形はドレットヘアだった。「どうして髪形が違うの?」とロキタが聞くと、「編み込みは難しいんだ」と恥ずかしそうに答えるトリ。「本当はドレッドヘアが好きなの?」とロキタがからかうと、トリは照れながら走り出し、ロキタがそれを追う。じゃれ合う2人の温かな姿が収められている。

トリとロキタを演じたパブロ・シルズとジョエリー・ムブンドゥはともに演技初挑戦。本当の友情を表現するため、5週間ほどリハーサルを行い、ふたりで本物の友情を深めていったという。またキャスティングについてダルデンヌ監督は、「トリは体は小さいが賢くすばしっこく動き回る。パブロはベルギーの高跳び大会で2位になるくらいのスポーツマンであり、聡明さも持ち合わせているため彼に決めました。対するロキタは背が高く、体は大きいが非常に繊細な女性。ジョエリーの背の高さと演技力で決めました。彼女は本来は明るく元気でしっかり者。リハーサルで徐々にロキタへと近づいていきました」と語っている。

また、ダルデンヌ監督兄弟が2度目のパルムドームを獲得した「ある子供」を見て以来、同監督の作品のファンであるという俳優の仲野太賀によるコメント動画も公開された。「本当に胸を打つ傑作でした。トリとロキタの表情が今でも脳裏に焼き付いて忘れられません」「是非皆さんにも劇場でこの2人の物語を見届けてほしいです」とメッセージを送っている。

「トリとロキタ」は、アフリカからベルギーのリエージュへ流れ着いたトリとロキタの物語。トリはまだ子どもだがしっかり者。10代後半のロキタは、ビザがないために正規の職に就くことができない。祖国にいる家族のために、ロキタはドラッグの運び屋をして金を稼ぐ。偽りの姉弟として生きるふたりは、どんなときも一緒。年上のロキタは社会からトリを守り、トリは時おり不安定になるロキタを支える。そしてロキタは、偽造ビザを手に入れるために、さらに危険な闇組織の仕事を始める。他に頼る者のいないふたりの温かな絆と、それを断ち切ろうとするかのような冷たい世界が描かれる。

【作品情報】
トリとロキタ
2023年3月31日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー
配給:ビターズ・エンド
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