比嘉真美子が明かす“大スランプ” 「新しい一日が始まってほしくない」

大スランプを経て、4年ぶりのツアー6勝目へ(撮影/村上航)

◇国内女子◇アクサレディス in MIYAZAKI 2日目(25日)◇UMKCC(宮崎)◇6565yd(パー72)

「18ホールをちゃんと回ってこられるか、というくらいひどかった。新しい一日が始まってほしくないと思っていたし、コースに行く時にワクワクする気持ちがなかった」と重い口調で語ったのは、ツアー5勝の実績を持つ比嘉真美子。昨季は国内ツアー出場33試合で予選通過が2回のみと、ゴルフに対してネガティブな感情を抱き、頭を抱えていた。

「技術的な面で言えば、スイングのテンポであったり、体やクラブをコントロールできなかった」と語る大スランプ。先の見えない“暗闇”をさまよう中で、藁(わら)にもすがる思いで頼ったのは、ツアープロとして活躍した経験を持ち、現在は大阪でゴルフスクールを開いている井上忠久コーチだった。「ツアーでプレー経験のある人にしか分からないニュアンスとかも伝えられる」と全幅の信頼を置く。

首位と1打差で最終日に臨む(撮影/村上航)

井上コーチとの取り組みは、比嘉の頭の中にある悩みを一つひとつ取り出していく作業から始まった。「何かを変えたいというよりかは、(自分の)思っていることや考えていることを言葉に出して、頭の中をクリアにしていくことが必要だと思った。クリアにして、悪いところを良くしていくために、相談しながらやっていた」。大きいスイングで、しっかりと振り抜きたいという理想に近づくために、二人三脚で“改造”を施していった。

改造の手応えは「感じている」と頬を緩める。「出来栄えはまだ半分にも満たないけど、今の体やコースと向き合いながらマネジメントしたら勝てないとは思っていない。悪いプレーも出るけど、今までの経験とマネジメントでカバーできる」と力強く前を向く。

新しいコーチと二人三脚での復活を目指す(撮影/村上航)

12位から出たこの日は3、4番で連続バーディを奪う上々のスタートを切ると、9番では6mのバーディパットを沈めた。ハーフターン直後の10番(パー5)では、残り226ydから5Wを振り抜いてピン12mに2オン。勢いそのままにイーグルパットを流し込んでスコアを伸ばした。

1イーグル5バーディ、2ボギーの「67」という数字には「朝イチのティショットから気持ちよく振れていた。何球か曲げてしまう場面はあったけど、トータルとしてはいい感じでプレーできた」と及第点をつけた。

首位と1打差の2位で迎える最終日は、2019年の「ダイキンオーキッドレディス」以来、4年ぶりの6勝目が懸かる。「優勝は簡単なことじゃないし、全てかみ合わないとできない」と話しつつも、「運とかも手繰り寄せるために、自分やコースと向き合って過ごせればチャンスをものにできると思う。自分のリズムで回れたらいい結果が待っている」。言葉に期待と想いを込めた。(宮崎市/内山孝志朗)

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