18億円新築コンド最上階「ペントハウス」から見た圧巻の景色【NY高層階の暮らし】

By 「ニューヨーク直行便」安部かすみ

(c) Kasumi Abe

ニューヨークは地上と上空からの景色がまったく異なり、両方のアングルが絵になる街だ。今回筆者は、マンハッタンにある新築コンドミニアムの最上階、ペントハウスの住居スペースを訪れた。

場所は、歴史的景観が眺望に入るノマド地区にある。

ノマド地区は以前は問屋街として栄えてきた街だが、2000年代以降もっともおしゃれなエリアの1つに進化した。そのきっかけは、クリエイティブ界隈では誰もが知るエースホテル(ACE Hotel)の進出だ。2009年の開業以来、ラグジュアリーホテルやミシュランレストランが続き、街は開花した。

エースホテルがノマドに目をつけた理由の1つに、素晴らしいヨーロッパのバロック建築物群の景観があっただろうというのは想像に難くない。この界隈に佇むビルはどれも歴史的な深みがあり美しい。

パンデミックの終焉と共に世界中からおしゃれな人々が舞い戻り、そんな人々が街に彩りを添えさらに活況を呈する。

「今もっとも新しくホットで勢いのある地区です」と言うのは、米不動産会社コア(Core)アソシエイトブローカーのジョン・ハリソンさん。「リッツ・カールトンや高級会員クラブ&ホテルのネッドも昨年開業し、おしゃれな街をさらに牽引しています。ラグジュアリーさと便利で洗練された生活の質を両方求める人にとって最高の立地なのです」。街づくりのプロもそのように太鼓判を捺す。

そんなノマド地区に完成したばかりの高級コンドミニアム、ローズヒル(Rose Hill)。ディベロッパーであるロックフェラーグループが手がけた最新の住居用高層ビルだ。

121のユニットを擁す45階建てで、42階から上はペントハウスになっている。3ユニットのうちの1つを訪ねた。

「わぁ!!」。ハリソンさんが玄関ドアを開けてくれた瞬間、思わず感嘆の声が漏れた。素敵な家にお呼ばれし玄関を開けた瞬間にテンションが上がることがある。または家探しで30軒もの見学後、中に入った瞬間ここだ!と直感でわかる。ついに運命の家に辿り着いた、まさにその心境だ。

眩いばかりの自然光の向こうには絶景が広がっており、期待が一気に膨らむ。

なんてったってここから見える景色は、43階の目の高さのニューヨーク摩天楼だ。ここに住むことができるのは「成功の証」。高所得者の中でも限られた層だけが手にできる「億万長者の景色」とでも言おうか。

家を見せてもらう場合、筆者はリビングルームからチェックすることが多いが、ここはいきなりバルコニーから見せてもらうことにする。

高層ビル群の中に住居を持つと、いくら高層階でもお隣さんの窓がすぐ目の前なんてことはニューヨークの高層ビルあるあるだが、ここは周囲に景観を遮るものがないのが良い。

景色もド迫力だが、バルコニーの大きさにも驚いた。ここで週末のブランチをしたら最高に楽しそうだ。「夕暮れ時はさらに綺麗なんですよ」とハリソンさん。夜は“1000万ドル”の夜景を見ながらワインやシャンパン、ウイスキーグラスを傾けるのがご一興。

目の前の絶景に言葉を失ったところで、室内に戻る。

まずはキッチン。料理が楽しくなるアイランドタイプだ。床から天井まで全面窓なので自然光がさまざまな角度から射し、室内は明るい。

この家にテレビは要らない。キッチンカウンターに立ち、外の景色を眺めながら料理をする。オープンスペースにもできるため、右奥のリビングにいる家族とのコミュニケーションも取りやすい作り。

団欒スペースのリビングルームには、温かい雰囲気を醸し出すおしゃれな暖炉がある。ここでゲストを迎えたり、家族でボードゲームをしたり、仕事から帰宅後に一息ついたり ── 。

その奥は書斎・オフィススペースになっている。ここで仕事をすれば捗ること間違いなし。

「上もぜひ見てください」とハリソンさん。なんとこのペントハウスは43、44階と2フロアにまたがっているのだ!

上階では、すべてのものがさらに想像を超えるスケールで我々を待ち構えていた。まるで高級ホテルの一室のような、広々とした寝室空間。

全方向、どの角度から見ても「絵」になる圧巻のペントハウスで、筆者は終始、声を失った。これまで見てきたレジデンシャル・ビルディングの中で確実に五指に入る物件だった。

見るものすべてが想像を超え、ここに住むことになる人たちは一体どんな仕事をし、どんな人生を歩んできたのかと思いを巡らせる。きっとこれも想定をはるかに超越するものであろう。

気になる購入価格は、日本円に換算して約17億8000万円也。加えて共有費と税金が毎月140万円ほどかかる。これほどの価格帯であっても3つのペントハウスのうち2つはすでに完売済みで、このユニットが現段階で残っている最後の1室ということだ。

「このローズヒル(ビル)はプロジェクトの立ち上げ以来、販売速度が速く、一部のユニットはすでに売り切れてしまいました」とハリソンさん。アメリカでは住宅ローンの金利が上昇しているが、富裕層を対象とした高級物件の需要は依然高いことを示唆している。


43〜44階の「PHB」フロアプランを見る

Rose Hill「Penthouse B」

価格:1299万5000ドル(約17億8000万円)

2ベッドルーム、3バスルーム、リビングルーム、キッチン、書斎/ラウンジエリア、2バルコニー

室内面積:2,610平方フィート(約242.5平方メートル)

バルコニー面積: 613平方フィート(約57平方メートル)

税金は月5,711ドル(約78万3000円)、共有費は月4,255ドル(約58万3000円)

記事内はすべて取材時の1ドル137円計算

Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

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