古民家再生の宿泊施設整備へCF 美咲の高木さん 4月下旬開業向け

一棟貸しの宿に改装中の古民家室内

 岡山県美咲町和田北でパン店と古道具屋を経営する高木一真さん(40)=同所=が、同町大垪和地区に一棟貸しの宿泊施設開業を目指し、古民家再生を進めている。農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に選ばれた景観や地産地消の食事が楽しめる宿。4月下旬のオープンに向け同28日まで、駐車場整備費などをクラウドファンディング(CF)で募っている。

 古民家は築約100年の木造2階建て延べ約160平方メートル。棚田に囲まれた立地で、眺めを楽しめるよう田んぼに面した部屋には大きな窓を設けた。まきストーブや五右衛門風呂があり、宿泊客が火起こしやまきを使った風呂たきを体験できる。食事は地元食材のバーベキューのほか、パン店で製造を担当する妻彩さん(41)が町産果物の天然酵母を使って作った自家製パンを提供する。

 高木さんらは2011年に愛知県から同町に移住。古民家は周囲に人家がなく、自然を満喫できる点が気に入り、22年秋に買い取って改修を始めた。耕作放棄地や空き家の増加、人口減少に悩む地域を観光で盛り上げようと宿の開業を決めたという。

 屋号の「Oto(おと)」には、川のせせらぎや虫の鳴き声など自然の音に耳を傾けて癒やされてほしいとの思いを込めた。高木さんは「自然を五感で楽しめる場所。都市部と里山の懸け橋になりたい」と話している。

 CFは、山陽新聞社や中国銀行などの「晴れ!フレ!岡山」のサービスを利用。目標額は100万円で、パンの詰め合わせや宿泊券などを返礼品に用意している。詳細や支援は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/oto)。

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