相次ぐ障害者虐待防止へ緊急集会 津山の事件受け 県内福祉関係有志

岡山県内で相次いだ障害者の虐待事件を踏まえ、どう防ぐか話し合う福祉関係者

 津山市の社会福祉法人が運営する障害者施設で2021年と23年、入所者への暴行容疑で職員計4人が相次いで逮捕されたことを受け、岡山県内の福祉関係者らが26日、岡山市内で虐待防止に向けた緊急集会を開いた。「虐待はどこでも起こり得る」との共通認識の下、どう防いでいくか話し合った。

 津山市の社会福祉法人を巡っては21年、トイレットペーパーを入所者の口に入れるなどしたとして職員2人が、今年1月にも別の職員2人が暴行容疑でそれぞれ逮捕された。集会は、県内の福祉関係者有志が企画、約30人が参加した。

 出席者からは虐待の背景に障害特性を理解していない不適切な支援があるとの指摘があり、県南の通所施設の男性施設長はかつて、パニックになって他人にかみついた障害者を別室に連れて行き、鍵をかけた経験を紹介。「本人のためと正当化したが、それが当たり前になると虐待になる」として常に自身の行為が正しいか考え続けることが必要とした。

 岡山市の入所施設・ももぞの学園の唐川孔樹施設長(49)は「現場では虐待に当たるか分からないグレーな支援もある。職員間で対話を重ね、共通の“物差し”をつくることで虐待の芽を摘めるのでは」と話した。

 倉敷市の通所施設「P.P.P.BBディスカバリー!」の戸田早希管理者(36)は、利用者を管理し過ぎようとすると「虐待につながりかねない」と言及。利用者の意思決定を尊重し、対等な関係を築く大切さを説いた。

© 株式会社山陽新聞社