バニャイアが逃げ切り、開幕戦を制す。イタリアメーカーが表彰台を独占/第1戦ポルトガルGP

 3月26日、2023年MotoGP第1戦ポルトガルGPの決勝レースがアルガルベ・インターナショナル・サーキットで行われ、MotoGPクラスはフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が開幕戦を制した。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は12位で終えている。

 最終日を迎えたポルトガルGP、決勝レース前最後となるウォームアップ走行ではアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)がトップタイムをマークし、2番手には開始直後コースサイドにマシンを止める姿も見られたファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、3番手にはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が並んだ。

 いよいよ迎えた決勝レース、予選順のためグリッドは土曜日に行われた2023年シーズン初開催のスプリントレースと同じ位置からのスタートとなる。気温22度、路面温度36度のドライコンディションで始まった25周の決勝レースで、ホールショットを奪ったのはミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)だった。2番手にホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、マルク・マルケス、マーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)が続いた。

 11番手からスタートしたクアルタラロは、やや出遅れて後方16番手までポジションを下げてしまい、追い上げのレースとなった。2周目、バニャイアが2番手に浮上すると、その直後にオリベイラをインから一気に仕留めてトップに躍り出ると、1分39秒458のファステストをマークする。

フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)/2023MotoGP第1戦ポルトガルGP

 その翌周、マルク・マルケスが3コーナーでのブレーキングで止まりきれず、マルティンに接触したのち、さらにオリベイラに追突する形で転倒を喫する。マルティンはこの際にオーバランを喫し、ポジションを大きく落としてしまう。ポールポジションを獲得したマルク・マルケスと、母国開催で勝利を狙っていたオリベイラは、わずか3周で戦線離脱となった。なお、オリベイラはメディカルセンターに向かったのち、骨折はなく打撲のみだったようだ。

 それにより7番手スタートのビニャーレスが2番手に、3番手には初日にトップタイムをマークしたジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)、4番手にマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)が続いた。

 6周目にはベゼッチがミラーを仕留めて3番手に浮上する。そしてトップを走るバニャイアの後ろには、ビニャーレスがぴたりと付け、ファステストを連発して追撃していく。9周目に入る頃には3番手のベゼッチとの差は約1秒ほどにまで広がった。

マーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)/2023MotoGP第1戦ポルトガルGP

 3番手争いを繰り広げる第2集団では、アレックス・マルケスがミラーを交わして4番手にポジションを上げていた。そして、さらに後方ではアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)が1分38秒872をマークしてベストラップを更新する。

 11周を終えたころには、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)がマシントラブルか、ピットインした後リタイアとなった。そしてレースの折り返しは、トップ2台と3番手を走るベゼッチとの差は1.7秒までに広がり、さらにトップのバニャイアはペースを上げてビニャーレスを引き離しにかかる。

 一時はギャップが1秒ほどに広がるも、ビニャーレスも負けずと追撃し、ギャップを縮めていく。後方ではアレックス・マルケスとミラーがバトルを繰り広げるなか、3番手のベゼッチがその隙に引き離して、前のビニャーレスとのギャップを少しずつ埋めていく。

マルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)/2023MotoGP第1戦ポルトガルGP

 残り6周、序盤にマルケスと接触したのちにオーバーランを喫し、11番手まで追い上げていたマルティンが今度は単独でクラッシュを喫してしまい、リタイアで終えることとなった。さらに残り4周で、マリーニが10コーナーで転倒を喫し、転倒が相次いだ。

 ラスト3周、先頭のバニャイアとビニャーレスの差が縮まりつつあったが、ここで徐々にバニャイアがペースを上げていく。トップ3のギャップが等間隔に広がる中、その後ろでは激しい4番手争いが勃発。目まぐるしく順位が入れ替わるなか、残り2周でアレックス・マルケスが再び4番手に浮上し、さらにその集団の後方には追い上げを図るクアルタラロが追いついていた。

 バニャイアは、最後までトップをキープしたままフィニッシュラインに飛び込み、今季2勝目を挙げた。そしてビニャーレスが2位、ベゼッチが3位でチェッカーを受けた頃、4番手争いは最後まで白熱。最後にヨハン・ザルコ(プリマ・プラマック・レーシング)がアレックス・マルケスのインに飛び込み4番手でチェッカーを受けた。

表彰台を獲得した3名のライダー/2023MotoGP第1戦ポルトガルGP

 6番手、7番手にはブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)とミラーのKTM勢が続いた。11番手から追い上げを図ったクアルタラロは終盤にポジションをひとつ上げて8番手。18番手スタートの中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は、12位でチェッカーを受けた。

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