JOLEDが民事再生法を申請 負債337億円で今年最大 ソニー、パナソニックの有機ELパネル統合会社

ジャパンディスプレイ(JDI)とスポンサー契約を締結したJOLED

 (株)JOLED(千代田区)は3月27日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
 申請代理人は鈴木学弁護士ほか(西村あさひ法律事務所、千代田区大手町1-1-2)。
 監督委員には片山英二弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7)が選任された。
 負債総額は約337億円。

 世界初となる印刷方式の有機ELディスプレイの開発や量産化体制の構築を目的に設立。ソニー(株)(現:ソニーグループ(株)、東京都港区)やパナソニック(株)(現:パナソニックホールディングス(株)、門真市)のほか、官民出資の投資ファンドの(株)INCJ(東京都港区)、(株)ジャパンディスプレイ(東京都港区)が出資。その後、ソニーとパナソニックの有機ELディスプレイパネルの事業を承継。2018年6月にはジャパンディスプレイから能美工場(石川県能美市)を取得し、量産化を急いでいた。
 INCJなどによる追加出資のほか、ジャパンディスプレイが保有していた当社株式をINCJが取得するなどINCJ主導による支援を受けていたが、量産化の遅れや研究開発コストが重く、多額の赤字が継続。2021年3月期は売上高59億800万円をあげたが、2022年3月期は売上高56億5500万円と減収に転じ、239億2600万円の赤字を計上。同期末時点の利益剰余金合計はマイナス1197億8700万円と拡大し、債務超過へ転落していた。

 JOLEDによると、「このまま自力で事業継続した場合、能美事業所や千葉事業所の撤退費用を捻出することも困難」とし民事再生による再建を選択した。なお、ジャパンディスプレイとの間で基本合意書を締結し、スポンサー支援を受ける予定。JOLEDの担当者は、「DIPファイナンスの調達予定はないが、当面の資金繰りに問題はない」とコメントしている。

※(株)JOLED(TSR企業コード:300600798、法人番号:4010001161992、千代田区神田錦町3-23、設立2014(平成26)年7月、資本金51億5000万円)
※ソニーグループ(株)(TSR企業コード:291064280、法人番号:5010401067252)
※パナソニックホールディングス(株)(TSR企業コード:570191092、法人番号:5120001158218)
※(株)INCJ(TSR企業コード:033865507、法人番号:2010001195118)
※(株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、法人番号:6040001059563)

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