岸田首相が強気答弁連発 5月サミット前解散の観測も パーティー批判にも反省なく 「戦闘モードで近寄りがたい」

岸田文雄首相(資料写真)

 週明け27日の国会は参院でウクライナ訪問の報告や予算委員会が開かれたが、岸田文雄首相の強気の答弁が際立った。訪問成功を背景とした内閣支持率の持ち直しが背景。2023年度予算案も28日に参院可決の見通しだ。首相の高揚ぶりを受け、与野党双方から「5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)前に解散があるかも」との観測が出始めた。

 訪ウ報告の参院本会議で立憲民主党は首相と同じ広島県選出の森本真治氏を質問者に立てた。同氏はサミットロゴ入りのボールペンなどをお土産にした首相の同県での会合が政治資金パーティー扱いで「在職中は開催を控える」とした大臣規範に反したと指摘。広島で起きた河井克行元法相夫妻を巡る選挙違反事件を引き、「政治活動にロゴを使うにとどまらず、そもそものパーティー開催がルール違反だ。総理は事件をお忘れか」などと追及した。

 首相はパーティーについて「開催は良識の範囲で規範に抵触していない」と断言。ロゴを巡っても「特定の政治思想を普及する目的ではなかった」と「特定」との形容詞を持ち出し前提をすり替え否定した。謝罪も反省もない答弁に野党席からどよめきが上がった。

 予算委では、立民の石橋通宏氏から「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)により自民党の政策がゆがめられた実態の調査をいつやるのか」とただされ「ゆがめるとは何を指しているのか全く分からない。一部の団体の意向だけで政策は決まらない」と色をなし反論。「家庭教育支援条例の制定など実例があるのだから政党として調査を」などと迫った石橋氏の追及を「個々の議員の判断で説明することだ」と突っぱねた。

 政府関係者によると、当初の答弁案ではパーティー開催などを巡り「今後は慎重に対応」などのニュアンスが含まれていたが「本会議や予算委前に総理が手を入れた」。「戦闘モードでだれも近寄りがたい雰囲気だった」という。

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