高岡のおりんNYに響け 8月、国連本部の平和の集いで使用へ

中垣さんに提供するおりんを鳴らし、ニューヨークに思いをはせる山口会長=高岡市内免

 富山県の高岡銅器の仏具「おりん」を基にした楽器の演奏が8月9日、米ニューヨークの国連本部で開かれる平和祈念式典で披露される。神仏具制作卸の山口久乗(きゅうじょう)(高岡市内免)が手がけた楽器で、原爆犠牲者への鎮魂の祈りに包まれる日に癒やしの音色が響き渡る。同社は「平和を祈る音に高岡銅器が使われるのは誇らしい」と歓迎する。

 山口久乗が27日に発表した。式典の名称は「インターフェイス平和の集い」で、ニューヨーク在住の僧侶、中垣顕實さんが代表を務める団体「ニューヨーク平和ファウンデーション」が開催する。毎年8月、広島・長崎の原爆犠牲者を追悼するためニューヨークで開いており、30回目の節目の今年は国連日本政府代表部の支援を得て国連本部で行う。

 おりんを組み合わせた山口久乗の楽器「久乗編鐘(へんしょう)」を使い、国内外で演奏活動をしている和編鐘奏者、ゆきねさん(神奈川)が団体から依頼を受け、演奏することになった。ゆきねさんは現地時間の8月9日の集いのほか、団体が広島と長崎で原爆が投下された時間に合わせ、同5日と同8日にニューヨークの教会などで開く集いでも演奏する。

 山口久乗はおりんを中垣さんに提供し、9日の集いの開始を告げる音として鳴らしてもらう。同社の山口敏雄会長(78)は鐘の音にはもともと周りを浄化する役割があり、平和の音としてふさわしいと言い「使ってもらえるのはうれしいこと。ありがたい」と話す。

 団体は5月のG7広島サミットに合わせ、集いのプレイベントを日本国内4カ所で行う。高岡と京都、大阪、広島で、高岡は4月26日午後6時半からホテルニューオータニ高岡でゆきねさんと音楽家の原田真二さんが出演し、中垣さんが講演する。入場無料。問い合わせは山口久乗、電話0766(22)0993。

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