マイナー競技のアスリートを支援 日本代表でも専念できない環境を応援したい!

サッカーのワールドカップや野球のWBC=ワールドベースボールクラシックでの優勝など、今年、日本のスポーツ界が大いに盛り上がっている一方で、あまりスポットライトが当たらない“マイナー競技”があります。こうした競技のアスリートを支援する新たなサービスを東京都内の企業が立ち上げました。

東京都出身の平野修也選手(37)は現役のアクアアスリートで、フィンスイミングとライフセービングの日本代表として活躍しています。水難事故での救助活動の動きを競技化した「ライフセービング」はビーチフラッグスが有名ですが、他にも、水中に沈んだマネキンを片手で持ち上げて抱えたまま泳ぎ切る「マネキンキャリー」という種目などもあります。実はこのマネキンの重さは何と40キロもあり、かなりハードな競技です。

50メートのマネキンキャリーの日本記録保持者という平野選手ですが、賞金の出る大会のないライフセービングの競技だけでは生活ができず、普段は日体大荏原高校のライフセービング部や帝京大学の水泳部で指導を行い、報酬を得ています。指導中も生徒と同じメニューをこなすなど、自身のトレーニングも怠らないストイックな平野選手を見て、参加する生徒たちも「すごく速かったり迫力もあって、一緒に泳いでいるとすごさが伝わってくる」「勉強になることが多い」と語ります。

競技のみに集中できない環境でもトレーニングを続ける平野選手が登録したのが、2月にサービスを開始したばかりの「ASFAN(アスファン)」です。アスファンはアスリートとファンのコミュニティーを作り出し、ファンはメッセージのやりとりなどでアスリートをより身近に感じることができます。一方、アスリートにはファンが支払う会費などから報酬が支払われることで競技への専念が可能になる仕組みです。

平野選手は「アスファンの母体はコンサル会社なので、基本的に企業間のつながりが多いところが強み。いろいろなところで指導ができる、あるいは講演できる可能性がある。もっともっとマイナーなスポーツでも頑張ってやっている人たちが世に知られ、仕事につながってくるのではないか」と、アスファンによってマイナースポーツのアスリートの可能性が広がっていくと期待しています。また、アスファンを運営するドリームマネージャー・ASFAN事業部の内田雄真さんは「(スポーツを続けていても)将来どうしていいか分からない、就職の時に困ってしまうのではないかと本人たちも不安を感じ、保護者も感じていると思う。マイナースポーツで困っている人たちを多く救っていきたい」と話し、才能があるのに夢を諦めざるを得ない日本のスポーツを取り巻く環境を変えていきたいとしています。

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