京都・保津川下り転覆事故、船頭困惑「みんなベテランなのになぜ」 泣いている乗客も

保津川下りの運航中止の案内が出されたJR亀岡駅改札口(28日午後2時36分、京都府亀岡市)

 京都府亀岡市と京都市を結ぶ保津川下りで28日に起きた転覆事故で、保津川下りの舟乗り場(亀岡市保津町)では、船頭らが現場の状況の把握に追われ、水やタオルなどの救援物資を船に積み込み現場に向かった。ある船頭は「今日は水位も下がり、天候も良かった。みんなベテランで慣れているはずなのになぜ…」と困惑していた。

 午後の便は全て運休したが、運休を知らない外国人観光客らが相次いでチケット売り場を訪れ、職員が説明に追われていた。中国から来たという男性は「一体何があったのか」と戸惑った表情を浮かべていた。

 この日、保津川下りを体験した乗客も取材に応じた。転覆した船の2便後ろの船に乗っていた男性(38)=大阪府貝塚市=は、救助活動のため現場の上流で2時間ほど待機してから、事故現場の横を通って下ったという。京都市西京区の船着き場付近で取材に応じた男性は「救助され、岸でシートをかぶっている人や泣いている人もいた」と話した。「流れはそれほど速いと思わなかった」という。

 また、1便前の船に乗っていた女性は「(転覆した船は)川に沈んでいた」と言葉少なに話した。

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