岡山大教授論文不正 研究費返還を AMED、国立センターに求める

 岡山大の神谷厚範教授(56)が2019年に英科学誌で発表したがん研究の論文に113カ所の捏造(ねつぞう)が発覚した問題で、研究資金を提供した日本医療研究開発機構(AMED、東京)は28日までに、神谷教授が論文執筆時に所属していた国立循環器病研究センター(大阪府)に対し、研究費の一部約11万8千円の返還を求めた。同センターは返還に応じる方針。

 AMEDによると、神谷教授が同センターで研究所室長などとして活動していた15~18年度、計約4700万円の研究資金を提供。このうち、不正が確認された論文に直接関係する費用として、英文の校正費(17年度)について返還を求めた。

 AMEDは併せて、神谷教授の研究申請を30年3月末までの約7年間停止することを決めた。規則で上から2番目に重い措置で「悪質性が高いと判断した」としている。

 今回の論文を巡っては、日本学術振興会(東京)も14~19年度に研究資金として計約2千万円を提供していたが、同会は「不正に直接関わる支出はなかった」として返還を求めないという。

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 山陽新聞は2019年7月9日付の朝刊社会面で、神谷教授らによる論文について「自律神経 がんに影響」の見出しで報道しました。岡山大、国立循環器病研究センターが論文の不正を認定し、日本医療研究開発機構も研究費の一部返還を求めたことなどから、記事と見出しを取り消します。

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