間違えないで! 浦賀署→横須賀南署、名称変更へ準備着々 神奈川県警では29年ぶりの名称変更

対空表示は「横南」、リアウインドーには「浦賀」の表記が残るパトカー=横須賀市内

 横須賀市南東部を管轄し、明治以来145年の歴史を持つ浦賀警察署が4月1日、「横須賀南警察署」に改称される。京急線浦賀駅近くから京急久里浜駅近くに移転して2年半。名称のために所在地を間違える人もおり、県警では29年ぶりの警察署の名称変更となった。看板や封筒、パトカーの表記を書き換えるなど準備を進めている。

 本庁舎や交番、駐在所の看板は既に「横須賀南」に書き換え、3月末までは「浦賀」のシールを上に張っている。パトカーは屋根の対空表示を「浦」から「横南」に塗り替えた。「横須賀南警察署」の封筒やゴム印も準備を済ませた。封筒は変更決定から1年間、計画的に発注したため余りはほとんどないという。

 県警などによると、同署は1878(明治11)年、横須賀署の浦賀分署として発足し、1926(大正15)年6月に分離独立した。

 旧庁舎の老朽化で2020年10月、約2.5キロ離れた現在地に移転。浦賀駅周辺で代替地が見つからなかったため、旧庁舎近くには交番を整備した。移転当時も名称変更を検討したが、江戸時代の浦賀奉行所や幕末のペリー来航などで知られる「浦賀」の名称は地元の愛着が強く、そのまま残した。しかし、移転後は「まぎらわしい」と苦情が出たほか、場所を間違える人もいたという。

 県内54署で名称変更は、横浜市青葉区が誕生した1994年11月に「緑北署」が「青葉署」に変わって以来。来月1日には横須賀南署で除幕式が行われる。同署は「明治以来の伝統を大切にしながら、地域の人と協力し、署員一同、新しい歴史を作っていきたい」と話している。

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