「容易ではなかった」ワークス離脱の決断。アプト専属となったK.ファン・デル・リンデが目指すはDTMの頂点

 2015年から在籍したアウディスポーツとの契約を解消し、今季2023年はアプト・スポーツラインと直接契約を交わして“アプト専属ドライバー”としてアウディR8 LMSエボIIでDTMドイツ・ツーリングカー選手権、ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2を駆りニュルブルクリンク24時間レースとその準備としてNLSニュルブルクリンク耐久シリーズ、そしてフォーミュラEのリザーブドライバーとして活動を行うケルビン・ファン・デル・リンデ。心機一転、新たな挑戦に向けて歩みだしたケルビンに、NLS開幕戦でその意気込みを聞いた。

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――2023年シーズンはあなたにとってもアプト・スポーツラインにとっても初めてとなる、ランボルギーニでのニュルブルクリンク24時間挑戦になりますね。
ケルビン・ファン・デル・リンデ(KVDL):「僕のホームチームであるアプトと真新しいランボルギーニとともに、ふたたびここニュルへ戻ってこられたことを非常にうれしく思う」

「これからはじまる大きなプロジェクトを前にして、とても楽しみで仕方がない。いまはまず、あと2カ月ほど後に迎えるニュルブルクリンク24時間レースのためにかなり多くの準備に追われている」

「第一段階としてNLSでできるだけ多くの周回数を重ね、新しいマシンのフィーリングを確かめながらデータを収集しているところだ。24時間レースの本番を迎える前にNLSの3戦と予選レース、そして平行してDTMのテストや準備もあるので正直、時間に追われているけれどとても充実した日々を送っているよ」

――アウディR8とランボルギーニ・ウラカンは同じV10エンジンを搭載していますが、ドライブ感は似ているのでしょうか?
KVDL:「ベース(エンジン)は同じなのだから、ふたつのクルマのドライブ感は似ているのでは? と多くの人から聞かれることが多いのだが、まったく違うといっても過言ではない」

「コクピットのソフトウェアはとくにアウディとまったく異なり、僕自身も初めて(ウラカンの)コクピットに座った際にはその違いに驚いた。だから、ひとつずつ操作方法を試しながら覚えていかないといけないし、まずは新たなマシンに慣れることに集中している。テストを重ねながら、より良いセットアップを見つけ出したい」

2023年よりアプト専属ドライバーとなったケルビン・ファン・デル・リンデ。弟でBMWワークスドライバーのシェルドンとともに若手修行時代からアプトのファクトリー近くに住み、現在も居住している。

――アウディから“卒業”し2023年は自動車メーカー所属のワークスドライバーの立場ではありませんが、今季の活動予定は?
KVDL:「長年アウディのワークスドライバーとして活動し、数多くの勝利をアウディとともに勝ち取り素晴らしい年月を過ごしただけに、アウディを去るという決断は容易ではなかったのは確かだ」

「しかし、プロのレーシングドラバーとして新たな挑戦に踏み出す時がきた、そう自分でも確信したし、その決断は正しかったと思う。その新たな一歩がランボルギーニをドライブしてニュル24時間レースに挑戦することであり、新しいチャレンジが待ちきれないほどだ」

――アプト・スポーツラインのドライバーとして踏み出した今季の目標は?
KVDL:「もちろん、今までまだ成し遂げられていないDTMのチャンピオンになること。あのフィールドでチャンピオンになることは本当に至難の業だ。だからこそ価値があることだし、あの頂点に立つドライバーになりたいと思っている」

「今季のニュル24時間レースは、アプトとしてはランボルギーニでの初参戦となるビッグレースだけど、目標はもちろんポディウムに立つことだ。フォーミュラEではリザーブドライバーとしてロビン・フラインスの代走で数戦参戦できた。ロビンがブラジル戦から復帰できることを喜ぶと同時に、いつか僕もフル参戦ができるようになりたいと思っている」

ケルビン・ファン・デル・リンデとマルコ・マペッリがドライブした27号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アプト・スポーツライン)

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