個体数増えた特別天然記念物アマミノクロウサギ 交通事故死が最多147件 人の動き活発、6~8月に急増 22年、環境省

山中に現れるアマミノクロウサギ=2022年12月13日、奄美大島

 環境省は28日、鹿児島県の奄美大島と徳之島のみに生息する国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの2022年の交通事故死が147件で、前年の81件を上回り過去最多を更新したと発表した。「個体数の増加と、夏季に人の動きが活発になったことが要因と考えられる」としている。

 奄美大島が107件(前年比45件増)、徳之島40件(同21件増)で、両島とも最多。月別では、例年は少ない6~8月に急増した。両島で見つかった死骸236匹(奄美166匹、徳之島70匹)も最多で、事故死が6割を占めた。

 多発した場所は、奄美が南西部の国道58号や県道、町道、徳之島は北部の県道。県や地元町村は、多発道路にクロウサギの道路への飛び出しを防ぐ侵入防止柵(ネット)を増設した。これまで設置区間で事故は発生していないが、区間の外れで事故が続いている。

 同省の鈴木真理子・希少種保護増殖等専門員は「原因や柵の効果を地元自治体や研究者と協力して検証したい」と話した。

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