人に役立つことをいきがいとする社会構築を提案

 岸田文雄総理は28日開いた、こども政策強化に関する関係府庁省会議で「子育て支援サービスの内容についても、親が働いていても、家にいても、全ての子育て家庭に必要な支援をすることとあわせて、こどもの貧困、そして障害児や医療ケアが必要なお子さんを持つ家庭、そして、ひとり親家庭などに対して、より一層の支援を行うことが必要であると考えている」と強調した。

 有識者として出席した子ども・子育て市民委員会共同代表で医師の鎌田實氏は、同委員会顧問で弁護士の堀田力氏が提唱している「すべての人がそれぞれに持つそれぞれの能力を存分に発揮して、人に役立つことをいきがいとする社会の構築を目的とする」意見などを紹介した。

 鎌田氏提案資料によると、堀田氏は法務検察30年、助け合いボランティア活動30年の経験から「われわれは、あくまで理想の姿を念頭に置き、それに向かって達成可能な限度いっぱいの計画を立て、逐次実現していく努力をし続けるほかない」とした。

 そのうえで「物質面での豊かさを作り出すために有能な人材の育成を養育、教育の目的とし、養成した特定の人々のリーダーシップで社会をつくっていこうとする従来の考え方は、もはや時代に合わなくなってきている」としている。

 堀田氏は「物質的豊かさをめざす人の多数が競争にやぶれて卑屈になり、物質的豊かさを得た少数派の勝ち組も、不毛な優越感がもたらす孤独感に苦しめられている。それぞれに自分の能力を生かして、人に役立ち、そのことから生まれる充実感と自信の快さを味わうことができないでいる。そのように、大多数の人に幸せをもたらさない格差と競争の社会の構造を皆の力で変え、適正な分配によって過大な経済格差をなくすと共に、どんな種類の能力の持ち主であっても、それぞれがそれぞれの能力を楽しく発揮できる社会をめざすべきだと考える」と提案している。(編集担当:森高龍二)

堀田氏は法務検察30年、助け合いボランティア活動30年の経験から「われわれは、あくまで理想の姿を念頭に置き、それに向かって達成可能な限度いっぱいの計画を立て、逐次実現していく努力をし続けるほかない」とした

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