梅システムに関心を 中高生ら招き研修会

竹内順平さん(左から3人目)から助言を受けて梅の商品企画について考える中高生や大学生=和歌山県みなべ町谷口で

 梅産地の魅力を発信する「みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会」のプロジェクトの一つ「梅贈りプロジェクト」は27日、農業遺産のブランディングをテーマにした研修会を、和歌山県みなべ町谷口の町生涯学習センターで開いた。地元の中高生や地元出身の大学生計14人が参加し、梅の商品企画について考えた。

 世界農業遺産に認定されたみなべ町や田辺市を活性化するためには、農業遺産のブランド価値をもっと高めることが必要で、そのために次世代を担う子どもや若者に、農業遺産にもっと関心を持ってもらおうと企画した。同プロジェクトのリーダー、東亨さん(43)が進行役、梅商品を企画販売するバンブーカット(東京都)代表の竹内順平さん(34)と人材・組織開発をする「セルム」(東京都)社員の石田直剛さん(44)がアドバイザーを務めた。

 東さんは梅干しの価格を話題にし「みんなにとって梅干しは身近なため、価格は分かりづらい。東京の店では1粒400円で売られている。高く売ることは悪いことではない。良い商品を高く買ってくれる所に届ける。それをみんなに考えてもらいたい」と語った。竹内さんは梅干しについて「伝統的な作り方は400年間、ほぼ変わらない。それは地域の誇りで、ぜひ残してもらいたい」と述べ、商品企画について「売り方を考えるとなると難しいが、大好きな人にどう喜んでもらえるかを考えればよい。人ってロマンに金を出す。それがキーワードになる」とアドバイスした。

 その後、参加者は3班に分かれ、商品企画を考えた。

 女子の班はバレンタインプレゼントとして、梅の花と塩を使ったバスソルトを考えた。「香りは記憶に残りやすく、特別感がある。精神安定と疲労回復も期待できる」と運動部の彼氏に贈ることを想定したという。

 男子の班は、母の日のプレゼントとして梅の成分が入ったハンドクリームを発案。母親が洗い物による肌荒れで困っていることから思い付いたという。もう一つの男子の班は、恋人へのクリスマスプレゼントとして梅を使ったケーキや梅干し、シャンメリーのギフトセットを考え、その3品をクリスマスカラーの緑、赤、白色のイメージで仕上げることに工夫するという。

 みなべ町東吉田出身で東京都在住の大学1年生、中地萌音さん(19)は「地方創生に興味があり、地元で仕事ができればと思っている。好きな梅で地域を活性化できればと思う」と語った。

 東さんは「みなべ町では梅に関わる人が多いので、農業遺産は地域創生に向けての手段の一つだと思う。これからも考えてもらいたい。大人になれば気付くことがあるかと思う」と話していた。今後も広く呼びかけて、研修会を開きたいという。

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