石川遼が続ける「長い旅」 明確な目標なきシーズンイン

石川遼の新たなシーズンが幕を開ける(撮影/塚田達也)

◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 事前(29日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7062yd(パー71)

「表には出ず、トレーニングと練習ばかり。ラウンドも少なかった」。プロ16年目のシーズンインに向けた石川遼の日々は、体作りに終始した。「今はまだ、将来に向けて種をまいたり、もう一回、耕したりしている時期だと思っている。そうやってコツコツと積み重ねていくことを引き続きやっていきたい」。新シーズン開幕を前に石川は自身の取り組みと現在地について、そう表現した。

約3年間にわたって取り組み続けているスイング改造。試合の結果に一喜一憂せず、方向性を変えることなく、見た目には大きく表れない地道な努力を続けてきた。「2009年から10年間ぐらいは真逆のことをやっているつもりで、ほとんど変わっていない時期もあった。コロコロと変えるよりも、ずっと同じことを磨き続ける。正しいのか、正しくないのかの判断は難しいけれど、マインド的にはすっきりしています」。変化に乏しいオフの過ごし方は、その延長上にあるものと言えるだろう。

開幕前日はイン9ホールをプレーした(撮影/塚田達也)

2022年11月「三井住友VISA太平洋マスターズ」で飾った約3年ぶりの優勝についても冷静だ。「去年勝ったことで、やっていることが正しいとは思っていない。年間3勝しても思えないと思う。自分にとって長い旅かもしれないけれど、楽しみな旅になることへのモチベーションはある」と落ち着いた口調で続けた。

だから、今年の目標についても明確な数字は立てていない。「自分が育てているものが今年、実になることは正直なかなか難しい。1年間を通して全体的に次のレベルに行けるようになることが今年の目標」と言葉にした。

目指す理想像については「あまり大きなことは言いたくないので…」と笑って受け流したが、石川の中でそのイメージは描かれている。「スイングよりも、もっと大事なことがいっぱいある。すべての要素が根拠となって、スコアにつながっていく。良いスコアを高い頻度で出せることが、目指すところですね」。石川にとって“継続の1年”が再び始まる。(三重県桑名市/塚田達也)

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