富士山避難新計画 神奈川は「噴火後」 降灰は屋内退避

富士山火山避難基本計画などを了承した富士山火山防災対策協議会=29日午後、神奈川県庁

 富士山の大規模噴火で被害や影響が見込まれる神奈川、山梨、静岡3県の新たな避難計画が29日、策定された。神奈川は溶岩流と降灰の恐れがあるが、現象の特性や火口からの距離を考慮し、原則として事前の避難は行わない方針とした。溶岩流は流下してくる可能性が生じた時点で避難を開始し、自家用車の利用も可能。降灰については、自宅か堅固な建物での屋内退避が基本となる。

 3県は同日、関係機関を交えた富士山火山防災対策協議会をオンラインで開催し、計画をまとめた。最新の知見から溶岩流の到達予想範囲が拡大した富士山ハザードマップ(2021年3月改定)を踏まえ、14年策定の「富士山火山広域避難計画」を改定。名称を「富士山火山避難基本計画」に変更し、避難の基本的な指針と位置付けた。

 多様な噴火シナリオが想定される中、目標とする「逃げ遅れゼロ」を実現するため、段階的な行動や隣接市町村への移動などで避難に要する時間を最短化する方向性を打ち出した。避難のタイミングや方法は噴火の状況や地域によって異なるため、市町村に対し地元の特性を考慮した避難計画を求めている。

 基本計画では、噴火に伴う現象や到達までの時間に応じて、3県の避難対象エリアを第1次~第6次の六つに区分した。 

 神奈川は県西部の7市町(相模原市、小田原市、南足柄市、大井町、松田町、山北町、開成町)が溶岩流の到達が24時間後~7日後と見込まれる第5次避難エリアと、7日後~57日後の第6次避難エリアに含まれた。対象エリアの人口は約10万5700人に上る。山梨、静岡両県内の第1次~第4次避難エリアでは噴火警戒レベルが3(入山規制)に上がった時点で学校などが原則休校となるが、5次、6次エリアでは施設管理者の判断となる。

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