令和の区政に必要な有効的な情報発信について、品川区・森澤区長の見解は?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜7:00~)。2月10日(金)放送の「モニフラZ議会」では、品川区の森澤恭子区長をゲストに迎えて、Z世代とXY世代の論客とともに区政に必要な情報発信について議論しました。

◆全区民アンケート、開かれた区政の実現へ…

昨年12月に就任した森澤品川区長。彼女にどんな区政を求めているのか、街頭で話を伺ってみると「医療関係を充実してほしい」「品川区役所を早く建て替えてほしい。既存の区役所は3つに建物が分かれていて、目的によってどこに行ったらいいかわからない」といった意見に加え、「家の真上を飛行機が通り、うるさいことはうるさい」と区内上空を飛行機が通過する"羽田新ルート”に関する声などもありました。

こうしたさまざまな意見・要望に耳を傾けるべく、森澤区長は区長選時のマニュフェストのひとつに「全区民アンケート」を掲げていました。その対象は15歳以上の区民36万人で、区政や羽田新飛行ルートに関するアンケートを実施していく方針です。そして、その結果をもとに固定化回避の早期実現を国に働きかけることを目的としています。

さらに、"開かれた区政の実現”を目指し、月に1回会見を開き、その模様をYouTubeでライブ配信。これは、わかりやすい発信と区政のプロセス公開が目的となっています。

キャスターの堀潤からは"開かれた区政の実現”に対し「何をもって"わかりやすさ”とするのか」との質問が。森澤区長は「それは試行錯誤しながら」と素直に返答。

その上で「決定していないことを示すのは、逆に混乱をもたらすこともある」と留意し「(自治体の)Webサイトなども含め、(必要な情報が)探しにくいこともあるし、行政の要望が若干届きにくいものもあるので、そうしたところをひとつずつ解決していきたい」と話します。

また、堀から「決定のプロセスを公開するのか、多様な意見を集めるための公開の場を作るのか。公開といってもいろいろなフェーズがあるが」との意見に対しては「タウンミーティングを開いたり、ワークショップを開いたり、そうしたところで区民の方が参画する機会を増やしていきたい」と森澤区長。

そして、集まった意見を最終的にはどのように区政に反映していくのかについては「多様な意見が集まるほど、それをまとめていくのは大変だが、それはこれからのチャレンジだと思っている」と意欲を見せます。

◆区民の興味をいかに惹くか、その対策は…

先の選挙の投票率でさえ30%台だったとあって、ライターのヨッピーさんからは「発信を強化するのはいいが、興味を持ってそれを見ている人がそんなにいるのか?」と疑問を呈します。

堀は、「(日々の)暮らしや日常があるなかで、区民が積極的に区政に参加するのは難しいのでは」と案じます。

森澤区長は、その対策としてインターネットなど気軽に参加できるツールの拡充を挙げ、一方で「正直、私も会社員時代に地元の自治体のことをちゃんと確認していたかといえばそうでもなかったので、どうしたら生活のなかで(政治を)気にしてもらえるか工夫をしていかないといけない」と気を引き締めます。

株式会社ABABA代表の久保駿貴さんは、地元である兵庫県・明石市では駅に市政の改善結果を大きく貼り出していたそうで「そういった発信の強め方、これだけ結果が出たという成果をしっかりと公表していくことも必要だと思う」と提案。

堀からは「自治体が苦手なのは、KPI(重要業績評価指標)と言われるような最終的なゴールが何であるのかという指標。また、それに対して現段階でどの程度なのか、その公開・共有と目標設定の仕方というのも問われる」との意見が。

これに森澤区長は「非常に重要」と頷き「来年度、事業評価・行政評価というのを本格実施していく」と明言。そして「目標と課題、現状をしっかり示していくのも重要」と語ります。

例えば、森澤区長が掲げている給食費無償化にしても、その効果をすぐに測るのは難しく基準も曖昧。それをどう区民に説明するのか。さらに給食費無償化のゴールをどこに置くのかを問われ、森澤区長は「そこは今後考えていかないといけない。今までだと品川区に住み続けたいという人の割合などが指標のひとつだったと思うし、あるいは満足度なのか幸福度なのか。そうしたところを考えていくことも必要だと思う」と答えます。

◆目指すは人口増加、税収増加の好循環

ヨッピーさんは、森澤区長が掲げる重点政策のひとつ「子育ての負担を減らす"保育”"給食”"医療”3つの無償化」を挙げ、「3つの無償化ということは、生まれてくる子どもも含め、品川区の人口増加を目指しているというイメージでしょうか?」との質問に、森澤区長は「そうですね」と同意。「子育て世代・現役世代が増え、街に活気が生まれて、最終的に人口が増えれば、結果的に税収増加にも繋がるので、そうした好循環を作っていきたい」と希望を述べます。

食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、子育て世代の女性区長として、不妊治療なども含め、Z世代が品川区で子どもを産もうと思えるような政策は考えているのか尋ねると「不妊治療も大事だと思うし、パートナーシップ制度も含め、やはり多様性。それが受容されている地域であり、社会だということも大事」と森澤区長。

多様性という部分では、今後は政治分野におけるさらなる女性の活躍が期待されていますが、森澤区長は「杉並の岸本(聡子)区長がいて、私が23区では(女性区長として)3人目。人口は男女半々なので、今後、女性の首長がもっと増えていけば」と期待を寄せます。

番組Twitterの「スペース機能」に参加していた視聴者からは、森澤区長に向けて「今後より出生率を上げるためにはどんな無償化が必要だと思うか?」、「無償化は当事者世代には非常にありがたいと思うが、財源を考えるとどこかを削らないといけない。その辺りはどうするのか?」といった質問が。森澤区長は「0歳児のおむつ宅配を無料でやっていくので、子育てを地域で支えていく。地域でしっかりとやっていきたい」とし、財源については「事業評価のなかで無駄がないかチェックし、新たな財源を振り分けていきたい」と回答していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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