茨城県土浦市 手話言語条例を制定、4月施行、普及促進へ

土浦市役所=同市大和町

茨城県土浦市は手話に対する市民の理解と普及を目指し「市手話言語の普及の促進に関する条例」を制定した。市の責務として手話がより身近になるための施策を行う。市民が手話を学ぶ機会を確保するほか、災害などの緊急時にろう者が安全を確保する情報を取得し意思疎通を図れるようにする。施行日は4月1日。

条例は障害者基本法に基づき定める。手話は言語であるとの認識のもと、手話を第一言語とするろう者にとって情報取得や意思疎通の大切な手段であると明記した。手話で意思疎通する権利を尊重することを基本理念としている。

条例によると、市は市民が手話を学ぶ機会を確保し、手話の普及のための施策を行う。市障害者計画で、手話の普及のために必要な施策を定める。災害などの緊急時にろう者のための手話利用の施策を講じる。

市民の役割として、いずれも努力義務を明記し、手話に対する理解と関心を深めるよう努めるとした。事業者は市が実施する手話普及に協力。ろう者と手話通訳者らは市が実施する手話に関する施策に協力する。

市は今後、手話ができる人を増やすため、主催の入門、基礎講座や研修会の機会を拡充する。市内小学校の3年生を対象に手話の手引冊子を配る。4月の市長定例記者会見を市の公式サイトで配信する際、手話通訳も併せて表示する。

市聴覚障害者協会は昨年3月、市議会に手話言語条例の制定を求める請願を提出し、採択された。市はこれまで障害福祉課の窓口に手話通訳者を配置。市社協は手話の入門講習や手話奉仕員養成講座を開くなど具体的な施策を進めていた。手話を学習するボランティア団体も活動している。

全日本ろうあ連盟の調べによると、35都道府県17区329市86町4村の計471自治体が手話言語条例を制定している(22日時点)。県内自治体では県と筑西市が制定した。

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