コオロギ食騒動「巻き込まれ迷惑」 河野デジタル相、1年前の投稿で大炎上 「河野さんらしい騒ぎ」の声も

河野太郎氏

 コオロギをはじめとした昆虫を食材とすることの是非論争の渦中に、河野太郎デジタル相(衆院神奈川15区)が巻き込まれた。1年前の報道や短文投稿サイト「ツィッター」への投稿が蒸し返され、臆測が雪だるま式に付加された。

 ネット上では「昆虫食推奨大臣」「コオロギ食担当相」などのやゆが飛び交う。所管するデジタル界に突然襲われた格好で、30日の衆院消費者問題特別委員会では「巻き込まれて迷惑だ」と不満と戸惑いをあらわにした。

 この日の審議では立憲民主党の山田勝彦氏から「消費者にはコオロギ食推奨への動きに不満がある。検査や食品表示などが厳格に行われるべきだ」などとただされた。河野氏は消費者担当相の立場で登壇。「陰謀論者がコオロギの話を拡散している。でっち上げの投稿が多数見られ、それを見た一部の消費者から不安の声が上がっているのでは」との現状認識を示した。

 また、「コオロギを含む食品によりアレルギーなど健康に関する影響が生じたとの具体的な事例は上がってきていないようだ。特に現行の表示ルール以上の義務付けを行う必要はないと承知している」などと言葉を選んで客観的に説明。世間のやゆを打ち消した。

 騒ぎの発端は、先月に一部ネットニュースが徳島の県立高校でコオロギパウダーを使った給食を生徒に試食させ、保護者らからクレームが相次いでいると報じたこと。折しも余剰となった牛乳や乳牛の処分が「もったいない」と問題視されており、「タンパク質を虫に頼る段階ではない」との反対意見も相まってネット上での論争が過熱した。

 こうした中、検索サイトでは「昆虫食」や「コオロギ食」へのアクセスが急増。その上位に河野氏絡みの(1)昨年2月にデジタル相として徳島のベンチャー企業イベントに参加した際に「乾燥コオロギとミックスナッツあえ」を試食し「おいしい」と感想を述べた(新聞記事など)(2)同月のツィッターで「今日のおやつはナッツとフタホシコオロギ」と紹介した-の2件が並ぶ。当時は何もなかった発信が1年もの時差を置いて発火し、大炎上した構図だ。

 騒動は国会でも話題となっており自民党内では「今回のような意見表明の機会があって良かった」(国会対策委員会関係者)との声も。「ネットと消費者問題がセットとはSNS(交流サイト)が得意な河野さんらしい騒ぎだ」(幹部)と不思議な感心も聞かれた。

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