女性は要注意!美顔エステ「HIFU」に落とし穴、事故急増 消費者庁が報告

 消費者安全調査委員会は、消費者安全法の規定に基づき、エステサロンなどで施術される「HIFU(ハイフ)」による事故について中間報告を行った。いわゆる美顔エステなどと称される機器を使った施術だが、事故が急増しているという。

原理的には「熱損傷を起こさせるもの」

消費者庁調査委員会の報告書より

 「HIFU(ハイフ)」とは、エステサロンでよく行われる美顔、痩身効果をもたらす施術に使われる機器。強い熱を発生させる超音波機器であり、エステに行ったことのある女性ならば一度は受けているものだろう。皮膚にジェルを塗ったあと撫でるように使われるあの機器だ。

 そして受けた方なら経験があると思われるが、この機器を当てられると、場合によってはピリピリと強い刺激を感じる。この原因は、超音波を筋膜層の一点に集中させることで局所的に熱を発生させ、組織に「熱損傷」を起こさせているためだ。つまり図にあるように、ハイフは特に組織を「痛める」ことによって見た目の効果を狙っているものなのだ。

 このハイフを使った施術は、エステティシャンではなく自分で機器を操作することにより安価に受けられるサービスが登場したこともあって、近年かなりポピュラーになっているが、事故も急増している。報告書によると、全体として2021年は前年の倍以上に増えている。

 委員会が調査を始めた2015年からの累積事故数は110件となるが、それらの事故による障害の内訳を見ると、被害を受けているのはほとんどが女性(97%)で、その中でも30代が多いとしている。受けた傷病の程度が1ヵ月以上のものは110件のうち21件におよび、「神経、感覚の障害」が最も多い。

施術に際する説明、機器に対する規制も不十分

 ハイフは原理的には「熱損傷を起こさせるもの」と報告書に明確に書かれている通り、身体にダメージを与えうるもの。本来は美容を目的としていても、医師が直接利用者にリスクを含め説明を行った上で施術するのが望ましいところだが、現在、法的には説明や施術上の義務、また機器の利用制限もない。実際、委員会で行った施設や利用者へのアンケートでは、施設側が十分な説明をしておらず、利用者がリスクを認識していないこと、また、利用規制がないことから、医療機関である美容クリニックでも、そうではない一般のエステでも、流通しているハイフ機器が出す超音波の強度に差が見られないことが発覚したという。つまり現状では、利用者自身がこの施術によるリスクを意識して、施設側に積極的に説明や安全な施術方法を求めることしかできないのである。

 委員会では、今回発表した内容は中間報告としており、引き続き調査を行うとともに、安全性を確保するための規制について検討を進めるとしている。詳しい内容は委員会のホームページに公開されており、分かりやすい動画も掲載されているのでぜひご覧いただきたい。

© 合同会社ソシオタンク