薬をドローンで配送 和医大など、2年後の実用化目指す

県内初の医薬品配送の実証実験で、偽薬を積んだドローンが県立医科大学屋上に着陸する(30日、和歌山市で)

 医薬品をドローン(無人機)で配送する和歌山県内初の実証実験が30日、和歌山市の県立医科大学であり、実用化が可能なことを確認した。災害時に道路網が寸断された場合や、平時でもへき地への配送ができるようにしたいという。2025年の運用開始を目指し、実証実験を重ねていく。

 県立医大、情報通信関連企業のNTTコミュニケーションズ(本社・東京都)、医薬品卸のケーエスケー(本社・大阪市)の3者の共同プロジェクト。実用化に向けた取り組みは全国でされているが、県内では初という。

 この日の実証実験は和歌山市の和歌川沿いのテニスコートから川の上を1.5キロ飛行し、県立医大図書館棟屋上に注射剤(偽薬)を届ける内容。国土交通省航空局が示すドローン飛行レベル4段階のうち下から2番目の「レベル2飛行」(目視が必要な自動運転)で実施した。装着した温度管理が可能な箱に偽薬を入れ、携帯電話の電波を利用し、あらかじめプログラムしたコースを飛行、無事到着した。箱は登録された人以外は開けられない仕組みで、実験では医大病院の医師が顔認証して開封した。

 実用化段階では最も高い技術を要する「レベル4飛行」(目視外で有人地帯を飛行する自動運転)を目指す。使用したドローンは、一定以上の風雨の中では飛行困難だが、改良を待つという。

 プロジェクトに参加している県立医大・地域医療支援センター長の上野雅巳教授は実験の成功を喜び「災害時だけでなく、診療所から独居のお年寄りの所に医薬品が届く形になればうれしい。採取した血液の配送にも利用できるのではないか」と期待を寄せた。

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