年収150万円だと、将来もらえる年金はいくら?

年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年収150万円の人は将来、年金をいくらもらえるのかについてです。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。 今回は、年収150万円の人は将来、年金をいくらもらえるのかについてです。

Q:年収150万円だと、将来もらえる年金はいくらになりますか?

「アルバイトで働いています。ずっと年収150万円だったら、将来もらえる年金はいくらぐらいになるのですか?」(29歳・アルバイト)

A:65歳から、年間112万3833円受け取れます

相談者は、アルバイトで働いているとのことです。年収150万円とのことですが、相談者は学生でないとした場合、要件を満たすことができれば、厚生年金保険に加入することになります。厚生年金保険の加入期間がある人は、原則65歳に老齢基礎年金が支給されるときに、老齢厚生年金が上乗せされます。 今回、相談者を年収150万円の厚生年金保険加入者として、65歳からの老齢年金受給額について解説します。 【年収150万円の年金受給額の試算条件】 ・2023年(令和5年)で誕生日を迎えられ、現在29歳。1994年(平成6年)生まれのAさん ・厚生年金保険加入期間:22歳から60歳までの38年間(456カ月) ・年収150万円:38年間、平均標準報酬額12万5000円(平均標準賞与ボーナスなし)とする 【老齢基礎年金の受給額の算出方法】 老齢基礎年金は20歳から60歳まで国民年金もしくは厚生年金保険に加入しており、未納期間・免除期間がなければ、令和5年度は満額の年額79万5000円(月額約6万6250円)が受け取れます(未納期間・免除期間があれば、その期間や免除額によって、年金受給額が計算されます)。 【老齢厚生年金の受給額の計算式】 老齢厚生年金の受給額を計算するには、平成15年(2003年)3月までと平成15年4月以降では、計算式が違いますが、試算条件の場合、会社に入社した年は平成28年(2016年)となりますので、平成15年4月以降の計算式のみ用います。 【1】老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式 平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以降の厚生年金保険加入期間(※) ※従前額保障での計算方法。スライド率等については省略。乗率は、昭和21年4月2日以降生まれに適用。平均標準報酬額とは、各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額のことです。 【Aさんの年金額を計算してみます】 以上の算出方法に、Aさんの条件をあてはめて計算すると以下のようになります。 【1】老齢厚生年金の報酬比例部分:12万5000円×5.769/1000×456カ月≒32万8833円 【2】老齢基礎年金:79万5000円/年 【3】【1】老齢厚生年金32万8833円+【2】老齢基礎年金79万5000円=112万3833円/年(約9万3653円/月) したがって、38年間、ずっと年収150万円の厚生年金保険加入者は、65歳からおよそ月額9万3653円(年額112万3833円)受け取れます。 また、令和5年現在、厚生年金保険の加入期間が20年以上あると、要件を満たす配偶者がいる場合に配偶者加給年金額が上乗せしてもらえます。 監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー) 都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

(文:All About 編集部)

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