連続テレビ小説「らんまん」の世界へ──。牧野富太郎博士ゆかりの地“高知・聖地めぐり”を紹介

連続テレビ小説「らんまん」(NHK総合ほか)の主人公・槙野万太郎のモデルは、高知県出身の植物分類学者・牧野富太郎博士。博士ゆかりの町や名所などを訪れれば、作品をより一層楽しめるはず。

牧野博士は現在の高知県・佐川町で生まれ育ち、県の各所で植物の調査・採集を行った。博士をモデルとする槙野(神木隆之介)の生涯を描く「らんまん」も序盤のストーリーの舞台は高知だ。

高知には、博士と関わりの深い名所や施設も各所にあるが、特に有名なのは高知県立牧野植物園。博士ゆかりの野生植物など3000種類以上が植栽されている。安芸市の洞窟・伊尾木洞も、博士が植物調査に訪れた地。神秘的な光景が広がる伊尾木洞は、目にしておきたい「聖地」の一つ。博士の故郷・佐川町も酒蔵の白壁が続く風情のある街並みで作品の世界にひたりながら散策するにはぴったり。

さらに、津野町・天狗高原も訪れたい名所。標高1485mの天狗の森の麓に広がるこの高原では、四国山地の1000m級の尾根を見下ろす雄大な景観が楽しめる。

また、高知を訪れるからには、そのほかの観光スポットもめぐりたいところ。となると、高知が生んだ幕末の英雄・坂本龍馬関連の名所は外せない。海を望む丘に龍馬像が建つ桂浜は、一帯が都市公園として整備され、高知県立坂本龍馬記念館などもあるのでおすすめだ。

◆3000種類以上の植物が四季を彩る! 高知県立牧野植物園

1958年、牧野博士の業績を広く伝えるため、高知市・五台山竹林寺の「南の坊」跡周辺を譲り受けて開園。自然の地形をいかした園内を、四季折々の植物が彩る。高知の自然を再現した「土佐の植物生態園」、博士が命名した植物など約250種類を植栽する「展示館中庭」。カンランを中心に伝統園芸植物を展示する「土佐寒蘭センター」、国内外の熱帯植物が見られる「温室」などのエリアがあり、博士の生涯を紹介する常設展示室などを備えた「牧野富太郎記念館展示館」も。ちなみに、4月に見ごろを迎える植物はオンツツジ、キエビネ、5月はカマヤマショウブ、ヒメアジサイなど。

■所在地:高知市五台山4200-6
■アクセス:JR高知駅から車で約20分、「MY遊バス」で約30分。

◆目の前に数万年前のような景色が広がる! 伊尾木洞

高さ約5m、幅約3m、全長約40mの洞窟。抜けた先は壁面がさまざまな種類のシダに覆われた渓谷で、原始の森を連想させる神秘的な空間が広がる。1カ所に40種類以上のシダが共生しているのはとても珍しく、26年にこの地のシダ群落すべてが国の天然記念物に指定された。通常の散策ルートは洞窟入り口から200mほどで折り返すが、さらに奥に進むことも可能。道はやや険しくなるものの、入り口から約400m地点にある滝を拝むことができる。

■所在地:安芸市伊尾木117
■アクセス:ごめん・なはり線伊尾木駅より徒歩約5分。車ではJR高知駅から約70分。

◆天狗高原

東西約25kmにおよぶ四国カルスト(カルスト=石灰岩などが雨水や地下水で浸食されてできた地形)の東端に位置し、白い岩肌の石灰岩、緑の草原、放牧された牛たちという風景が広がる一方、天狗の森の周辺では自然林が生い茂る。星空の美しさも圧巻だ。

■所在地:高岡郡津野町芳生野乙

◆牧野富太郎博士が生まれ育った地! 佐川町

牧野博士の生家跡地に建つ「牧野富太郎ふるさと館」や金峰神社のほか、多くの維新の志士や偉人を輩出し、少年期の博士も学んだ「名教館」など、博士ゆかりの場所だけでなく町と縁のある人物の業績を紹介する施設も点在。

また、町を歩くと自然と目に入ってくる酒蔵の白壁は司牡丹酒造のもの。博士の生家も酒造を営んでいたが、その酒蔵は人手を経て司牡丹酒造に譲られた。司牡丹酒造は博士にちなんだ酒をつくり、販売している。

■所在地:高岡郡佐川町
■アクセス:土讃線佐川駅下車。車ではJR高知駅から約60分。

◆桂浜

台座を含めた高さ13.5mの坂本龍馬像のほか、坂本龍馬記念館、桂浜水族館などが建ち、月の名所としても名高い桂浜。3月4日には土産物店や飲食店などが並ぶ商業施設「桂浜 海のテラス」がグランドオープンした。

■所在地:高知市浦戸6

開催中! 高知県観光博覧会「牧野博士の新休日」

来年の3月31日まで高知県全域で観光博覧会「牧野博士の新休日」が開催中。博士が愛した植物をはじめとする自然、食、歴史など高知の魅力を満喫できる各種イベントが開かれている。現地を訪れた際はぜひとも参加したい。

【公式サイトはこちら】
https://kochi-tabi.jp/makino-expo/

取材・文/佐藤新 撮影/尾崎篤志

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