グンゼ久世工場跡 銘建工業が取得 物流拠点に活用、倉庫や社宅整備

銘建工業が取得したグンゼ久世工場跡地

 大手肌着メーカー・グンゼ(大阪市)が昨年1月に閉鎖した久世工場跡地(真庭市久世)を、集成材メーカーの銘建工業(同市勝山)が取得したことが31日、分かった。同社は製品や原料を保管する物流拠点などとして活用する計画。現在は保管場所の不足により製造ペースを抑えており、倉庫機能を充実させて生産量を引き上げ、業容拡大につなげる。

 跡地は6万2700平方メートルで、グンゼが閉鎖後に縫製工場などの建物を解体した。銘建工業によると、昨年3月に売買契約を結び、この日引き渡された。取得額は非公表。同社の本社工場から東約4キロにあり、製品や原料のラミナ(板材)を出荷・保管する倉庫のほか、社宅を整備する。

 本社工場では、併設の倉庫が満杯のため新たに製品を作っても保管できず、生産が滞りがち。物流拠点の新設により、生産量の2割増が見込めるという。社宅の整備は、岡山県外からの新入社員の増加に対応する狙い。自社製のCLT(直交集成板)を使い、取引先らの宿泊スペースも設けて、木材を社内外にアピールする。

 グンゼ久世工場は1927年に開業し、主に絹糸を生産。61年以降はシャツやパンツのインナーウエアを製造していた。跡地周辺は住宅が多いため、銘建工業は騒音に配慮して工場は建てない方針。将来的には各工場に併設する倉庫を跡地へ集約し、空いた土地で生産設備の増強などを図りたいという。

 同社は「集成材やCLTの安定供給に役立てていく。地域と共に歴史を刻んできた土地をより良い形で発展させたい」としている。

 銘建工業は1923年創業、66年設立、資本金3780万円、売上高373億円(2022年12月期)、従業員329人。

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