統一地方選、選挙区の4割弱が無投票 千葉県議会選我孫子選挙区でも

Japan In-depth編集部(仲野谷咲希)

【まとめ】

・3月31日統一地方選が始まる。

・全国野選挙区の4割程度が無投票となった。

・千葉県我孫子選挙区も2人の候補者が無投票当選、なり手不足、有権者の政治への無関心も問題。

4年に1度の統一地方選は、41道府県議選と17政令市議選が3月31日に告示され、午前8時30分から各地で立候補の受け付けが始まった。4月9日には、既に告示された9道府県知事選と6政令市長選と合わせて投開票が行われる。

全体939選挙区のうち4割弱の選挙区で無投票当選が決まった。全ての道府県で無投票の選挙区があり、地方自治の意義が問われかねない情勢だ。

取材班は千葉県議会選挙我孫子選挙区に向かった。定数2。候補者は自民党公認候補の今井勝氏と無所属の水野友貴氏が立候補した。前回はこの2人に加え、立憲民主党公認候補(現我孫子市議)が出馬、三つ巴の激しい選挙戦を繰り広げたが結果は無所属の水野氏が自民、立憲両党の公認候補を抑えて史上最多得票でトップ当選という結果に。結局今回、野党候補は出馬せず、今井候補、水野候補、共に無投票当選となった。

31日正午、我孫子市は快晴、桜の花びら舞う手賀沼公園の広場で行われた水野ゆうき候補の出陣式には、星野順一郎我孫子市長、参議院副議長で立憲民主党の長浜博行参議院議員、日本維新の会の市議らが出席した。

星野市長は挨拶で、「水野候補は2期8年、若者、女性の代表として我孫子市と県をつないできた。無所属ながら頑張っている。熊谷知事になってからの活躍には目を見張るものがある。猪突猛進、がんばってもらいたい」と檄を飛ばした。

長浜参議院副議長は、「女性議員には頑張ってもらいたい。無所属でこれだけ市民の支持を得ているのは千葉県民として嬉しい。戦わずして勝つのは剣の極意だ」と述べた。

▲写真 水野友貴候補の出陣式に集まる支援者ら(我孫子市・手賀沼公園)©︎Japan In-depth編集部

水野候補は「今回も無所属で選挙戦に挑みます」と宣言。そのうえで「2期目は新型コロナ対策に追われた4年だった。政党に所属しないことでしがらみなく直接市民のために働くことができる。熊谷知事との連携でスピーディに問題を解決していく」と宣言した。

その上で10の政策を上げたが、特に保健医療体制の整備が重要と述べ、次にスマート県庁の推進・DX化、3番目に手賀沼の環境保全などを挙げた。公園に集まった支援者や公園を散歩している市民ら約100名が聞き入っていた。

夕方5時には星野市長が自ら他の立候補者の届け出が無かったことを伝えに事務所に立ち寄ると、水野候補と今井候補2名の無投票当選が決定、水野ゆうき事務所ではスタッフや支援者の喜びの声が上がった。

勝利の挨拶で水野候補は、「選挙は議員にとって成績表。投票という形で評価が欲しかった。選挙を通してもっと市民のみなさんと議論をしたかった」と述べた上で、市民の中には選挙があることを知らない人もいたりして、選挙の関心が薄れていることに危機感を示した。実際今年1月の我孫子市長選挙も無投票だった。

我孫子選挙区は無投票となったが、千葉県だけで無投票選挙区は15選挙区ある。千葉県は41選挙区、定数95。137人が立候補し、15選挙区で25人が無投票当選を決めた。定数の約26%にあたる。

全国で見ても定数の約25%程度は無投票当選とみられる。原因としてはなり手不足が挙げられるが、そもそも高齢の多選議員が多い事や、女性議員が少ないことなどから、新たに政治に挑戦したいという候補者が現れないのも無理はない。

有権者の選挙に対する無関心も問題だ。政治家による情報発信不足が原因との意見もあろうが、自分の住んでいる町や市の首長が誰かも知らない人が多い。

水野氏はコロナ禍の時、保健所の体制がわかりにくく、医師・看護師不足、病床不足などが新型コロナ感染症が拡大している時期の混乱の1つの例としてあげていた。

地方自治は国政とは違い、私たちの暮らしに密着している。我孫子市など郊外の市町村、とりわけ千葉、埼玉、神奈川県などには東京都の会社に通勤しているビジネスパーソンも多いだろう。いきおい、自分の住んでいる町の政治に疎くなるのも無理からぬことではある。

しかし、保健所の例を取っても、水野氏が旧知の熊谷俊人県知事と二人三脚で予算を倍増させた手賀沼の外来種植物の繁殖対策や、通学路の交通安全対策などを推進するためには、市町村と県の密な連携が不可欠なのはいうまでもない。それを政策として実行するのが政治家であり、彼らを選挙で選ぶのが我々有権者なのだ。政治は我々の鏡だ。

この当たり前のことが今や常識でなくなってきているのかもしれない。選挙年齢の18歳引き下げで注目され始めた主権者教育だが、何でもかんでも学校に頼るのでは無く、まずは家庭で話し合い、選挙について考える機会を持つことが大事なのではないだろうか。先ず隗より始めよ、だ。

(了)

トップ写真:無投票当選が決まり万歳三唱をする水野友貴候補(千葉県・我孫子市)

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