神田明神で〝推し活〟アクリルスタンド感謝祭 台湾からもアニメファン「ただ捨てるよりリサイクルに」

〝推し活〟で活用されるアクリルスタンド、アクリルキーホルダーを回収し、リサイクル活動を啓発するイベント「アクリルグッズ感謝祭」が3月30日、アニメの聖地として知られる東京・神田明神で行われた。

旅行先、食事先などでアクリルスタンドと一緒に撮影したものを、SNSに投稿する〝推し活〟はもはや当たり前となった昨今。昨年12月に設立されたアクリルグッズ等再生利用促進協議会が主催し、役目を終えたグッズを回収。アニメ等のファングッズを制作するひかりてらす社の代表取締役で、同会の事務局長を務める山田裕介氏らが、同神社の禰宜を担う岸川雅範さんから御神殿で祈祷を受けた。

回収協力者には、リサイクルで製作されたアクリル記念グッズがプレゼントされた。台湾から旅行中だという27歳会社員の女性は、ツイッターで催しを知り、アニメキャラクターのアクリルスタンドを持参して訪日。「ただ捨てるよりもリサイクルに使われてほしかった」と、日本のアニメ、ゲームが好きで身につけたという流ちょうな日本語で説明した。約3年前に入手したグッズを回収ボックスに投入した。

山田氏によると、アクリル製品は長年アニメグッズとして用いられてきたが、近年は男女アイドルら芸能人のアクリルスタンドがSNS映えに活用され、コロナ禍での飛沫防止用パネルにも利用され、需要が急増。およそ5年前から円安と中国の人件費増加のため、製造拠点が中国から国内に移り、国内でのリサイクルの必要性が高まっているという。

ペットボトルのリサイクル回収率は93%だが、アクリル製品は海外輸出、埋め立て焼却で処分されているのが現状。同協議会の発起人の1社である三菱ケミカルグループでは、マイクロ波を用いたケミカルリサイクルを世界で初めて技術化。アクリル樹脂を原料のMMAポリマーに戻し、幅広い活用が可能で、2024年の商業プラント設立が目指されている。プラスチックゴミでアクリル樹脂が占める割合は1%程度で、分別回収が進ちょく具合の分かれ目となる。同協議会では、今回の催しなどで、アクリル樹脂リサイクルの機運を高める活動を行っていく。

神田明神の岸川さんは「リサイクルやSDGsは、神社としても人ごとではない。我々も学んでいかなければ」と話していた。

台湾から「アクリルグッズ感謝祭」に参加した女性はアニメグッズを手にする=東京・神田神社

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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