社説:京滋で統一選告示 一票で身近な自治に参加を

 9日の投開票に向け、京都府議選、京都市議選、滋賀県議選が始まった。

 地方議会は首長と並び、自治体の行く末を左右する大きな権能を持っている。その代表者を選ぶ貴重な機会だ。

 各候補は政策や取り組み、首長への評価などを明確に訴えねばならない。有権者はそれを吟味して投票することで、「わがまち」の自治に参加したい。

 4年に1度の統一地方選は、前半戦が先月23日に大阪、奈良など9道府県知事選で始まり、同26日の6政令市長選に続き、京滋など41道府県議・17政令市議選が順次告示された。

 23日投開票の後半戦は、京滋17市町で首長・議員選がある。

 急激な少子高齢化で、京滋でも大半の自治体で人口減少が進んでいる。年間で約1万2千人(2021年)と、全国の市区町村で最も減少した京都市は象徴的といえる。

 一層の行財政見直しや子育て支援はもとより、今後避けられない「人口減社会に適応したまちづくり」をどう進めるか。各候補には、抽象的なスローガンや耳に心地よい施策にとどまらず、優先順位や財源も含めた具体案を競ってほしい。

 自治体を大きく揺さぶった新型コロナウイルス禍は、府県が中心となる医療、市町村が担う福祉で多くの目詰まりをあぶり出した。教訓をどう生かすか。不測の災害対応にもつながるだけに大きな関心を寄せたい。

 党派別でみれば、京都府、京都市、滋賀県各議会とも、第1党である自民党の勢力維持が焦点となる。昨年、安倍晋三元首相への銃撃事件で問題化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係については、各候補に説明が求められる。

 京都府、京都市で第2党の共産党は支持の広がりが要だろう。出版で党首公選制などを訴えた党員2人を、京都府委員会が除名処分とした問題は有権者の受け止めが注視される。

 京滋の立憲民主党と国民民主党は、候補をすみ分けるなど協調する。京都党、チームしがは地域政党として基盤を持つ。

 この「非自民非共産」の勢力に割り込むのが、国政選挙で伸長する日本維新の会だ。国会で立民と協力する一方、憲法改正は与党と連動する。各地方議会でのスタンスが問われよう。

 深刻なのは低投票率である。前回は京都府議選約40%、京都市議選約38%、滋賀県議選約43%といずれも過去最低を更新した。民主主義が危ぶまれる。

 ただ、京滋では直近の国政選挙や知事選で、投票率が持ち直す傾向もみられる。

 身近な自治体行政が暮らしに直結するのは、多くの人がコロナ禍で実感したはずだ。地方議会に多様な意見を反映させ、首長に対する監視・提案機関として機能させるのは、私たち有権者の一票にほかならない。

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