キッチンカー参上・盃酔の陣(玉野市) 居酒屋の味引き継ぐ

道の駅みやま公園を拠点に営業している「盃酔の陣」

 居酒屋の味を復活―。大田啓介さん(48)=玉野市=は地元で30年以上営まれていた同じ名前の店のメニューを引き継いだ。「『あの料理がまた食べられた』と、当時のお客さんが懐かしんでくれてうれしい」と言う。

 名物の「なすぎょうざ」をはじめ、焼き鳥や唐揚げ、だし巻き卵など約10種類をそろえる。なすぎょうざ(5個入り500円)は輪切りにしたナスにギョーザの具を挟み、小麦粉をまとわせて揚げた。肉厚でジューシーな味わいが人気の看板商品。焼き鳥(1本250円)はピリ辛の特製みそを付けて味わう。

 店の名が入ったのれん、赤枠の短冊に書いたメニュー…。トレーラーを改装したキッチンカーは飲食店の雰囲気を演出する。

 居酒屋「盃酔(はいすい)の陣」は大田さんの両親が玉商店街(玉野市玉)で営業していた。高齢を理由に5年ほど前に閉じたが、大田さんは「小さい頃から食べ、思い出が詰まった味を残したかった」と一念発起。レシピを受け継ぎ、昨年4月にオープンした。仕込みには両親の手を借りている。

 現役競輪選手の顔も持つ大田さん。飲食業界に飛び込んだのは「選手としてのピークを過ぎ、引退前に新しいことを始めたかったから」。レースの日程次第で開店日が不規則になるため、実店舗より融通が利くキッチンカーを選んだ。

 「なすぎょうざを玉野の名物にする」。次なる目標は定まっているようだ。

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 岡山県内ではキッチンカーの新規営業許可が2022年度で147件(2月末時点)。新型コロナウイルス禍に伴うテイクアウト需要の高まりを背景に、新規参入の動きはいまだ旺盛だ。メニューや外装へのこだわり、出店に至るドラマを紹介する。

 メモ 金~月曜日を中心に道の駅みやま公園(玉野市田井)に出店。最新情報は大田さん(090―8711―1954)のインスタグラム「haisuinojin47」

看板商品の「なすぎょうざ」をPRする大田さん

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