KTMビンダー、驚異の追い上げ。スプリントレースで15番手スタートから優勝を飾る/第2戦アルゼンチンGP

 4月1日、MotoGP第2戦アルゼンチンGPの予選とスプリントレースがテルマス・デ・リオ・オンドで行われ、スプリントレースではブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が15番グリッドからスタートしながら、優勝を飾る快挙を果たした。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は、11位でゴールしている。

 予選はミックスコンディションとなり、ほとんどのライダーがレインタイヤで走り出した。しかしQ2の終盤にはコンディションが回復し、数人のライダーがスリックタイヤに交換。これが奏功し、ポールポジションを獲得したアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)、2番手となったマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)、3番手となったフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は、スリックタイヤを履いたライダーだった。

ポールポジションを獲得したアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)/2023MotoGP第2戦アルゼンチンGP

 MotoGPクラスで初のポールポジションを獲得したアレックス・マルケスは、Q1からの予選で1番手タイムを記録したのち、終盤に転倒。しかし急いでピットに戻り、Q2に臨んだ。ホンダからドゥカティに移籍して2戦目にして、グリッドの先頭に並ぶことになった。

予選トップ3のアレックス・マルケス、マルコ・ベゼッチ、フランセスコ・バニャイア/2023MotoGP第2戦アルゼンチンGP

 12周のスプリントレースは気温18度、路面温度21度のドライコンディションで始まった。1コーナーにトップで飛び込んだのはアレックス・マルケスだったが、1周目にフランコ・モルビデリ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がアレックス・マルケスからトップを奪った。さらに4コーナー立ち上がりでアレックス・マルケスのマシンが振られたすきに、ビンダーが2番手に浮上する。ビンダーはこのときすでに、15番グリッドスタートから3番手にまでポジションを上げていた。

 2周目を終えて、トップはモルビデリ、2番手はビンダー、3番手はルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)。アレックス・マルケスを挟んで5番手にバニャイアが続く。ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は10番手を走行する状況だ。

 2番手のビンダーは11コーナーでモルビデリをパスし、トップに立つ。しかし、ビンダーから9番手のマルティンまでが僅差で連なり、トップ争いは全く予断を許さない。

 レース中盤の7周目に入ると、トップのビンダーが2番手のモルビデリと3番手のマリーニに対して少しずつ差を築き始める。また、3番手のマリーニにはベゼッチが迫りつつあった。ベゼッチは一度バニャイアにかわされたが、4番手のポジションを奪い返していた。モルビデリとマリーニが激しい2番手争いを展開する間に、ベゼッチがこのふたりに割って入る形となる。

 残り3周、2番手に浮上したマリーニとともにベゼッチもモルビデリをパスして3番手にポジションを上げ、さらにマリーニから2番手を奪った。モルビデリはムーニーVR46レーシング・チームのふたりにやや遅れる形となり、2番手争いはチームメイト同士のバトルとなる。

 最終ラップには2番手を確実なものとしたベゼッチがビンダーに迫るも、わずかに及ばなかった。ビンダーはベゼッチに対し0.072秒差でチェッカー。15番グリッドという後方からスタートして優勝を飾る快挙を成し遂げた。2位はベゼッチ。3位はマリーニが獲得し、ムーニーVR46レーシングチームが2位と3位を占めている。

 4位は久々に表彰台争いを展開したモルビデリ、5位はアレックス・マルケス。バニャイアは終始、アレックス・マルケスと4番手または5番手争いを展開し、6位でゴールした。

 10番手スタートのクアルタラロは、ほとんどポジションを上げられないまま9位フィニッシュ。中上は11位だった。

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