ガラス張りの戦国遺構、朝倉義景の目線で風情を楽しむ 福井市の一乗谷朝倉氏遺跡の朝倉館跡、特設鑑賞スポットが一部完成

朝倉館跡に設置されたガラス張りの特設鑑賞スポット=4月1日、福井市の一乗谷朝倉氏遺跡

 福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡の朝倉館跡で特設鑑賞スポットの一部が完成し4月1日、一般公開が始まった。ガラス張りの床の上から、戦国期の遺構や特別名勝の庭園を眺めることができる。

 朝倉館は5代当主朝倉義景の居館。1968年に戦国期の建物と庭園の遺構が一体となって発掘された。歴史的な価値が高い遺構を分かりやすく伝えようと、県は昨年度、鑑賞スポットの整備に着手した。同館跡が発掘・整備されて以降、半世紀ぶりの大がかりな工事となる。

 客人をもてなす「泉殿」があった場所に、地面から高さ50センチ付近にガラス製の床を設置した。当時の床高に近いという。広さも当時と同じ約50平方メートルで、出土した礎石を真下に見ることができる。床の設置により、遺構の保存にも適した環境になった。

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 1日は観光客が整然と並ぶ礎石を見たり、池庭や花壇を眺めたりと義景の目線で風情を楽しんでいた。県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館文化財調査員の藤田若菜さん(37)は「博物館にある原寸再現した朝倉館も見てもらえると、当時の様子がより想像しやすくなる」と話していた。

 県は、本年度中に小座敷跡、来年度は回廊跡に同様の鑑賞スポットを整備する。

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