茨城・かすみがうら 古民家江口屋 クラフトビール醸造開始 地元の果物香り付けに

出来上がったクラフトビールを紹介する醸造担当者の森田千亜紀さん(左)と横山大樹さん=かすみがうら市坂

茨城県かすみがうら市坂の霞ケ浦湖畔にある市の宿泊施設「古民家江口屋」で、クラフトビールの醸造・販売が本格的に始まった。地元の果物を香り付けに使い、まず2種類を完成させた。宿泊客や近くのレストラン客に提供するほか、売店で売り出す。市は「名物として全国に発信したい」と意気込んでいる。

クラフトビールは、築110年の古民家を改修した宿泊施設の敷地内にある土蔵を使い、小規模な「江口屋醸造所」を設け、醸造する。市が新たな特産品をつくろうと、蔵の改修や機械に約3500万円をかけた。市の第三セクター、かすみがうら未来づくりカンパニー(今野浩紹社長)が運営する。

商品は、瓶入り(330ミリリットル)のペールエール「澤乃不二」(660円)と、フルーツビール「霞ケ浦ゆずエール」(715円)。澤乃不二は、かつて造り酒屋だった江口屋の日本酒銘柄をラベルのデザインとともに復刻した。

ゆずエールは、一般的なオレンジピールの代わりにゆずの皮をむいて加え、爽やかな香りと味を際立たせた。古民家江口屋や近くのレストラン「かすみキッチン」と物産店「かすみマルシェ」、オンラインで売り出す。

醸造責任者は、宿泊施設も取り仕切る森田千亜紀さんと横山大樹さん。森田さんは2020年1~3月、県外のビール醸造所に出向き、技術を学んだ。月900リットル、2400本を造る。今後はイチゴやブルーベリーといった市の特産品を使った商品や本格的な黒ビールなども開発していく考え。

季節や使う食材によって商品の中身を変えられるのが魅力であり、造る難しさでもあるという。森田さんは「ビール造りに完成はなく、試行錯誤しながら経験を積んでいる。いろいろな食に合う商品も企画していければ」と話した。

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