ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した木星の最新画像

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3(WFC3)で2022年11月に撮影された木星(Credit: NASA, ESA, STScI, A. Simon (NASA-GSFC), M. H. Wong (UC Berkeley), J. DePasquale (STScI))】

アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)の「ハッブル」宇宙望遠鏡は、巨大ガス惑星の大気の変化を捉える「OPAL(Outer Planet Atmospheres Legacy)」プログラムのもとで、木星・土星・天王星・海王星の観測を2014年から毎年行っています。

冒頭の画像は、2022年11月22日にハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で撮影された木星の姿です。木星のトレードマーク「大赤斑」は裏側に回り込んでいて見えませんが、温度や成分の違いが色の変化を生み出している帯状の雲の模様や、幾つもの連なる渦が捉えられています。

画像の中央付近には、オレンジ色が特徴的な木星の衛星イオも写っています。イオは17世紀にガリレオ・ガリレイが発見した4つの衛星(ガリレオ衛星)のなかでも木星に一番近く、木星や他のガリレオ衛星による潮汐力で内部が加熱されているために活発な火山活動が起きています。画像の左側を見ると、木星の雲頂にはイオの丸い影が落ちています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3(WFC3)で2023年1月に撮影された木星(Credit: NASA, ESA, STScI, A. Simon (NASA-GSFC), M. H. Wong (UC Berkeley), J. DePasquale (STScI))】

いっぽう、こちらの画像は約2か月後の2023年1月6日に広視野カメラ3で撮影された木星の姿です。地球の公転によって木星との間隔が少し開いたため、冒頭の画像よりも小さく写っています。

この画像ではちょうど正面に大赤斑が見えています。ハッブル宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、大赤斑のサイズはこの150年間で小さくなっているといいますが、それでも直径約1万2700kmの地球がすっぽり入ってしまうほどの大きさがあります。

また、大赤斑の右下には衛星ガニメデが写っています。地球の約11倍の直径がある木星の前では小さく見えるガニメデですが、その直径は約5268kmで、惑星である水星の直径(約4880km)を上回っています。2023年4月に探査機の打ち上げが予定されているESAの「JUICE」ミッションでは木星の衛星エウロパ・ガニメデ・カリストが主な探査目標となっており、ミッションの後半では探査機が初めてガニメデの周回軌道に入って観測を行う予定です。

関連:木星の氷衛星を探査するESAの「JUICE」探査機がギアナ宇宙センターに到着 2023年4月に打ち上げ予定(2023年2月20日)

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3(WFC3)で2022年11月(左)と2023年1月(右)に撮影された木星を比較した画像(Credit: NASA, ESA, STScI, A. Simon (NASA-GSFC), M. H. Wong (UC Berkeley), J. DePasquale (STScI))】

木星とその衛星を捉えた2点の画像は、NASA、ESA、STScIから2023年3月23日付で公開されています。

Source

  • Image Credit: NASA, ESA, STScI, A. Simon (NASA-GSFC), M. H. Wong (UC Berkeley), J. DePasquale (STScI)
  • NASA \- Hubble Monitors Changing Weather and Seasons at Jupiter and Uranus
  • ESA \- Hubble monitors changing weather and seasons on Jupiter and Uranus
  • STScI \- Hubble Monitors Changing Weather and Seasons at Jupiter and Uranus

文/sorae編集部

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