「本州最東端の蛇口」完全復活 震災で流失の標識を掲示

12年ぶりに「本州最東端の蛇口」の標識を掲げる木村民茂さん

 宮古市重茂の姉吉地区自治会(木村民茂会長)は今春、東日本大震災で流失した「本州最東端の蛇口」の標識を12年ぶりに付け直した。地域に水道が通った2009年に姉吉漁港に整備されたもので、観光客らに珍しがられていた。位置は奇遇にも東経142度3分11秒。幾度の災禍に見舞われた同地区で「震災を忘れない」との願いも込められている。

 木村さん(76)が3月中旬、水道管の解凍を待って、経度を表示した青色のマグネット標識を漁港作業場の柱に張った。県内最高レベルとなる遡上(そじょう)高38メートルの津波でもぎ取られた蛇口は5年ほど前に復旧済みで、標識の掲示で完全復活を果たした。

 沢水をろ過して使っていた同地区に水道施設が完成したのは09年。当時は金色に塗られた蛇口に金色のコップが備え付けられた。漁港は本州最東端の※ケ埼(とどがさき)灯台への自然歩道入り口にあり、水筒に水を詰め、記念撮影する観光客が見られたという。

※は「魚へん」に「毛」

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