埼玉に存在する滋賀県人会 実はゆかり深い両県 会長「三方よしの精神を大事に」

埼玉滋賀県人会の中村文雄会長

 埼玉滋賀県人会は、滋賀県出身者と家族ら約130人でつくる。 中村文雄会長(76)=さいたま市=を中心に、近江商人道研究会、ハイキング会、探花会など部会活動や会報を通じ、交流を深めている。

 今年1月には新型コロナ対策で自粛していた新年会を、3年ぶりにさいたま市大宮で開催。江州弁で語り合い、「琵琶湖周航の歌」のメロディーが流れる中、ふるさと近江に会員たちは思いを寄せた。

 滋賀県出身者と、埼玉のゆかりは深い。

 滋賀出身の故堤康次郎氏が創業した西武グループは埼玉県内に鉄道網がある。日野近江商人は江戸時代から明治時代にかけて北関東に行商し、埼玉県域などで醸造業や薬業などを営んで発展したといわれる。会報の名は「彩のおうみ」。ともに内陸県でもある。

 中村さんは昨年6月に会長に就任した。近江八幡市で育ち、大学卒業後、埼玉で暮らしてきた。首都圏ベースの県人会活動には古くから参加してきたが、2006年に埼玉滋賀県人会が地域交流を強化するためスタートすると、県人会の運営に努めてきた。

 県人会は昨年5月、日野町役場の来訪を受けた。

 埼玉県で第1回近江日野商人サミットを開催したいとの相談だった。県人会は協力し、11月14日、さいたま市の会場には企業6社など約60人が集まり、盛況だった。

 日野町側からは町長や近江日野商人ふるさと館館長らが出席。近江日野商人をルーツに持つ企業との交流について話し合った。近江商人にルーツを持つ企業から、日野とのつながりについての語りもあった。滋賀県内の自治体から、首都圏での取り組みの際に頼られる存在でもある。

 新型コロナの影響で、2年に1度のペースで近江八幡や長浜といった近江商人の里を訪れてきた研修の旅は見合わせざるをえなかった。今年は近江商人道研究会と県人会バスハイクが、合同で高島商人の古里を訪ねる企画も進めているという。

 中村さんは「会員は高齢化が進むが、『三方よし』の精神を大事に、交流を深めていきたい」と話す。

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