異変…いつも穏やかな女性客、焦って電話してきた 営業時間外でも対応した店員、客の家まで訪れて詐欺阻止

右から岩崎明岩槻署長、JA南彩蓮田支店の柿沼智弥さん、同支店の森田勝統括支店長=岩槻署

 特殊詐欺被害を水際で防いだとして、埼玉県警岩槻署は3月28日、JA南彩蓮田支店の柿沼智弥さん(38)に感謝状を贈った。

 同署などによると、柿沼さんは10日午後3時ごろ、組合員の80代女性から「今からお金を下ろせるか」と電話を受けた。用途を聞くと「息子がお金をなくして上司が貸してくれているが、それだけでは足りないと言っている」などと話したことから、詐欺を疑ったという。営業時間外の電話や焦っているような口調などから「とにかく落ち着かせなくては」と考え、電話を終えると女性方を訪問。直接詐欺である危険性を説明した上で警察に通報するように説得し被害を防いだ。

 感謝状を受け取り「普段穏やかな方ということを知っているからこそ、異変を察知することができたのかもしれない」と笑顔を見せ「今後も地域住民とのコミュニケーションを大切にしたい」と力を込めた。

 管内の昨年1年間の特殊詐欺被害は、一昨年比で32件増加の63件。うち半数以上の34件が息子などをかたったオレオレ詐欺だった。岩崎明署長は「被害者方に赴いて対応していただいた結果。機転を利かせた行動に感謝したい」と述べた。

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