シャルロット・ゲンズブール、家出少女を自宅に迎え入れる? 「午前4時にパリの夜は明ける」本編映像

2023年4月21日より劇場公開される、シャルロット・ゲンズブール主演、ミカエル・アース監督作「午前4時にパリの夜は明ける」から、シャルロット・ゲンズブール演じる主人公エリザベートが家出少女のタルラを自宅に招くシーンの、本編映像が公開された。

エリザベートが深夜ラジオの仕事で知り合った少女タルラは、家出をして外で寝泊まりしているという。そんな彼女を放っておけないエリザベートは、同じアパートの一室をタルラに貸し、自宅に招いて2人の子供たちとともに食卓を囲む。高校生である息子マチアスの学校の話題になると、エリザベートは「留年しても助けてやらないから」と厳しい母親の表情を見せる。タルラには進学の予定はなく、昔中学に通ったきりだという。職業訓練や奨学金を提案するエリザベートに対して、タルラは「あなたみたいにラジオの仕事をしたい」と真っすぐな瞳で夢を語る。

純粋なタルラの登場によって悲観していた過去を少しずつ見つめ直していくエリザベートと、心揺れ動くマチアス。なエリザベートたちの愛情深い人柄が垣間見えるシーンとなっている。

「午前4時にパリの夜は明ける」は、夫の裏切りに傷つきながらもたくましく前へ進む等身大の女性を描いた作品。1981年のパリ。結婚生活が終わりを迎え、ひとりで子供たちを養うことになったエリザベートは、深夜放送のラジオ番組の仕事に就くことに。そこで出会った家出少女のタルラを自宅へ招き入れ、交流を重ねるなかで、エリザベートやその子供たちの心に変化が訪れる。主演は、「なまいきシャルロット」などのシャルロット・ゲンズブール。「アマンダと僕」のミカエル・アースが監督を務める。

また、一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

■西田尚美さん(女優)
平凡な日々のようでいて、とてもドラマティックに見えるのは、シャルロットが演じているからなのか。
いや、まるで演じてないようにも見える。あのなまいきシャルロットが、お母さんに。
あぁ私もエリザベートにハグされたい。
大げさでなく、とてもさりげない愛情のかけ方、スクリーンに存在している姿に惚れ惚れした。

■原倫子さん(イラストレーター)
独りで過ごす時に見せるエリザベート(シャルロット・ゲンズブール)の表情に惹かれる。
思わず口角が上がる様、さめざめと泣く様。自身を取り巻く環境の変化でわずかに変わってゆく仕草。

■猫沢エミさん(ミュージシャン/文筆家)
一介のシングルマザーになること。そこから人生をやり直すこと。
そして初めて自分を知り、本当の愛を知っていくこと。
シャルロットの名演が、再生の素晴らしさを優しく謳いあげる午前四時に、
人生の夜は明ける。

■クリス智子さん(ラジオパーソナリティ)
みんな生まれた瞬間から、大海原の淵に立つ。
長いであろう旅路、小さくても拠りどころがあるといい。
ラジオにはカタチがない。幸せにもカタチはない。
家族も。
でも、自分を鼓舞する何かがあるとすれば、
そんなところに転がっているような気もする。
生きている実感を掬いながら、
これからの道のりをほのかに照らしてくれる映画です。

■佐藤多佳子さん(作家「明るい夜に出かけて」)
孤独な家出少女の透明なガラスのような瞳。苦難を乗り越えていくタフで繊細な母親の笑み。
1980年代のパリの夜景に流れるラジオ。人と人とのつながりが切なくも美しい。

■小川紗良さん(俳優/文筆家/映像作家)
ミカエル・アース監督がまたひとつ、世界を浄化してくれた。
弱さを抱えて生きること、支え合うこと、誰かを思いやること。
深夜ラジオが孤独を繋ぐように、きっとこの映画に救われる人がいると思う。
映画館を出たあと、すべてが優しさを帯びて見える。

■シトウレイさん(ストリートスタイルフォトグラファー/ジャーナリスト)
この映画は『見る』というより『眺める』、
『知る』というより『感じる』類のもの。
それは例えば美しい音楽、上質のカシミアの肌ざわり、
薫り高いフレグランスが鼻をくすぐる体験のように。

■山崎まどかさん(コラムニスト)
孤独な少女と新しい人生を前に惑う家族が結ぶ絆の切なさ。
80年代のパリがこんなに優しく、ノスタルジックに描かれる日が来るとは!

■鶴谷聡平さん(DJ/サントラ・ブラザース)
これまでの作品も音楽への愛情に溢れていたミカエル・アース監督。80年代のパリが舞台の本作は、NYパンクやイタロディスコの名曲が場面を彩る。柔らかなシンセの劇伴も極上!

■ミュージシャン 川辺素さん(ミツメ)
こじれてしまった関係の修復を願う時、それそのものに執着するより、
他の誰かを支えることで自分が救われる可能性がある。
人生の遠回りを肯定してくれる映画でした。

■枝優花さん(映画監督/写真家)
夜の街を眺めていると自身の輪郭が曖昧になって
「本当にこの世界に自分は存在しているのだろうか」と
疑いたくなる。不安になる。寂しさが込み上げる。
もしも、これを孤独というのならば
この映画はそんな夜に寄り添ってくれる。
そして、その暗い夜もいつかは明けるのだと、信じさせてくれる。

■文月悠光さん(詩人)
それぞれの孤独が交わり、じんわりと光るように響き合う。
私たちは互いの傷に触れて、ひととき寄り添い合うことができる。
他者と共有した忘れがたい時間を思い出す作品です。

■木下龍也さん(歌人)
過去という夜が言葉で明けていく。
まぶしさとともに生まれるひとりひとりの影は、
はっきりと、いま、ここに、あなたとわたしがいることを教えてくれる。

■はらだ有彩さん(テキストレーター)
何も残らなかったかのような歳月、離れていった人々、
好きになれなかった映画。
それでもあの日々は確かに私だったと抱え直す夜が、朝が、
1981年から2023年までの42年間にいくつあっただろう。

【作品情報】
午前4時にパリの夜は明ける
2023年4月21日(金) シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国公開
配給:ビターズ・エンド
© 2021 NORD-OUEST FILMS – ARTE FRANCE CINÉMA

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