<事後レポート> 「利休と天下人~戦国時代の茶の湯~」

令和5年2月28日 朝日チャーセンター 新宿教室にて、大日本茶道学会会長であり、茶道研究にも造詣の深い田中仙堂による「利休と天下人~戦国時代の茶の湯~」の講演が行われました。

講演は、1.武士のとっての喫茶、2.武士のとっての茶会、3利休と天下人という三部構成です。

平安時代末期に導入された宋式喫茶が、<健康>『喫茶養生記』、<闘茶の懸物から室礼へ>『太平記』、<異国趣味の「茶会」(ちゃえ)>『喫茶往来』という形で武士の間に定着していったことが確認された上で、武士にとっての茶会が、<京都の中の武家政権>室町幕府、<「茶会」(ちゃかい)の成立>三好政権、<メディアとしての発見>織田政権、<信長継承から独自路線へ>豊臣政権という視角で紹介されました。

利休と天下人との関係も、三好・織田・豊臣政権と利休の距離、利休にとっての天下人、

「わび茶」とは何かとう三つの視角から紹介された後に、政治的路線対立を背景にしつつ、秀吉が権力を誇示するためではなく、人との結びつきを強める求めために茶を行うようになってきた茶会のスタイルの変化が、利休追放に踏み込ませたと、利休処刑の日(2月28日)と重なった講演の結論として提示されました。 秀吉も最終的に確認した、人との結びつきを強める茶の本質を再認識することが今こそもとめられているのではないかと説かれ、「人と人との垣根を、お茶で乗り越え、つなげていく」との合い言葉を提示されたのが印象的な会となりました。

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