ライター・夏森アキラの選挙漫遊記~桜を楽しむ春の選挙漫遊!大阪府知事選挙・大阪市長選挙の旅~(上)

みなさんは「選挙漫遊」という言葉をご存知でしょうか。

選挙ドットコムでおなじみのフリーライター・畠山理仁さんが生み出した言葉で、投票権の有無にかかわらず選挙を音楽ライブのように楽しむことだと私は解釈しています。

選挙や政治という言葉を聞いて難しく考える必要はありません。アーティストのライブに行って(しかも無料)、あわよくば握手して、観光したり美味しいものを食べたりして帰ってくる。私にとっての選挙漫遊はそんなイメージです。

2022年の参議院選挙の折に畠山さんから直接お話を伺う機会があり、それから選挙漫遊にハマってしまった私。

【関連】選挙取材のプロ・畠山理仁氏に聞く!街頭演説を100倍楽しむコツ【参院選2022】

今回は統一地方選挙で激戦必至の注目選挙、大阪府知事選挙・大阪市長選挙(大阪ダブル選挙)を見てきた選挙漫遊の記録をお届けします!

統一地方選挙の注目激戦区・大阪ダブル選挙の見どころ

2023年4月9日投開票の大阪府知事選挙大阪市長選挙の立候補者は以下の通りです。

大阪府知事選挙 立候補者
谷口 真由美(無所属・アップデートおおさかが擁立)
吉野 敏明(参政党)
辰巳 孝太郎(共産党推薦)
吉村 洋文(現職・大阪維新の会)
稲垣 秀哉(新党くにもり)
佐藤 さやか(政治家女子48党)

大阪市長選挙 立候補者
横山 英幸(大阪維新の会)
北野 妙子(無所属・アップデートおおさかが擁立)
荒巻 靖彦(無所属)
ネペンサ(無所属)
山崎 敏彦(無所属)

(いずれも届け出順・敬称略)

構図を一言で表すなら「維新対反維新」。大阪府知事と大阪市長のポジションを両方抑えている大阪維新の会に対し、政治団体・アップデートおおさかがそれぞれ候補を擁立しています。

アップデートおおさかには自民党と立憲民主党がそれぞれ自主支援に回っていますが、谷口氏のこれまでの主張から自民党内では反発もあり、反維新として一枚岩になれていないと言われています。

主な争点はIR=カジノを含む統合型リゾート誘致の是非です。

選挙漫遊は気楽な気持ちでふらっと言っても良いのですが、構図や争点を簡単に理解していると街頭演説を聞くときに面白さが増すように感じます。「選挙名 構図」といったキーワードで検索すると新聞記事が出てくることが多いので、一読していくことをおすすめします。

選挙によっては選挙ドットコムちゃんねるで紹介している場合もあるのでぜひチェックしてみてください!

今回の選挙漫遊では2日間の午後を使って都合のつく限り候補者に会いに行ったのですが、以下の4名の候補には会うことが叶いませんでした。

・さとう さやか氏
・荒巻 やすひこ氏
・ネペンサ氏
・山崎 としひこ氏

荒巻氏は演説スケジュールはわかったものの私の都合が合わず、他の3名は演説スケジュールの情報を見つけることができませんでした。

実際に見ることができた7名の候補の街頭演説の様子について、時系列でご紹介します。

記憶に残るキャッチコピーで新人候補を支援

選挙漫遊初日に新大阪駅近くのラーメン屋さんで腹ごしらえをして向かったのは、淀川区のとあるスーパーの前。大阪維新の対立候補としてチェックしておきたかった、元大阪市議会議員で市長候補の北野氏の演説を聞きに来ました。

ここはかなり規模の大きいスーパーで平日昼間に多くの人が利用しており、素人目に見ても演説にうってつけの場所です。北野氏も「淀川の演説の聖地」と話していました。

北野氏は大阪市議会議員の新人候補・南たかふみ氏を同行。南氏への投票を「北から南へ」と2人の名字にかけて有権者に訴えました。

新人候補は顔と名前を覚えてもらうことが第一歩なので、これはとてもいいアピール方法だと心の中で膝を打ちました。

北野氏は私がカメラを向けていることに気が付くと一礼して手を振ってくれました。

最後に選挙カーを降りて有権者と握手。満面の優しげな笑顔で私の手をがっしりと握り「女性同士、頑張りましょうね!」と激励の言葉をかけられ、思いがけずエネルギーをいただいてしまいました。

次の街頭演説まで中途半端に時間ができてしまったので桜ノ宮まで足を伸ばし、しばしお花見。

選挙漫遊は街頭演説を聞いて回るだけでなく、空いた時間で観光やグルメを楽しむとより一層楽しくなる気がします。

統一地方選挙は桜の時期と重なるのが嬉しいですね。4年後も楽しみです。

オリジナルソングで政策アピール

次は梅田に向かい、知事候補の稲垣氏の街頭演説へ。新党くにもりの名前はたびたび聞くのですが、街頭演説を聞くのはこれが初めてです。

稲垣氏の主な提言は反維新と核武装です。

そのことを有権者に分かりやすく伝えるために作成されたという「核武装くにもり音頭」が、演説の合間に梅田の街に流れます。

「なぜなぜ~なぜに核武装~新党くにもり核武装~」

政策を歌でアピールするというのは初めて見たので衝撃的で、強く印象に残りました。稲垣氏の戦略としては大成功ですね。食い入るように見ていたので支援者と思しき方に「くにもりの方ですか?」と声をかけられてしまいました。

選挙漫談!?思わず笑ってしまう絶妙トーク

次は知事候補の吉野氏の街頭演説を聞きに行きました。昨年の参院選で参政党の演説をほとんど聞けなかったということもあり、リベンジの気持ちで向かいます。

引き続き場所は梅田なのですが、微妙に場所が変わるため参政党カラーのジャンパーを着たスタッフを目印に演説場所を探します。目立つオレンジ色なのですぐに見つかりました。

しかも、オレンジ色なのはスタッフだけではありません。聴衆の中にも帽子やバッグ、パーカーなどさりげなくファッションにオレンジ色を取り込んでいる人がちらほら。「参政党ガチ勢」だとすぐにわかりました。

吉野氏の演説は時に選挙カーのへりを叩き、聴衆に熱っぽく呼びかけ、笑いを誘うこともあります。その様子はまさに漫談。毎日の街頭演説で日焼けした顔を「参政党色になっちゃった」と表現したときには私も思わず笑ってしまいましたし、たぶん一番ウケていました。

最後はお決まりだという「いち、に、参政党ー!」のかけ声で聴衆と一体になっていました。

カードを使った交流型の街頭演説

この日の最後は知事候補の谷口氏。大阪維新の対立候補として見ておきたかった候補です。

谷口氏の選挙カーは北野氏と同じピンクのデコレーションですが、ヒョウ柄をあしらって「大阪のおばちゃん」的なキャラクターでアピールするようです。

印象的だったのは演説の前に配布されたピンクとブルーの2枚のカード。

このカードは谷口氏が投げかけた質問に答えるためのもので、イエスならブルー、ノーならピンクのカードを掲げます。

これならふらっと聞きに来た人でも聞きっぱなしにならず、候補者と交流しながら演説に参加できるので、とても面白いアイデアだと感じました。ちなみに公職選挙法の関係でこのカードは返却しなければならず、お土産にすることはできません。残念。

また、谷口氏は演説の途中で質問の時間を設け、聴衆の疑問に積極的に答えていたのも印象的でした。

最後は北野氏と同じく選挙カーを降りて有権者とグータッチ。私ももちろんグータッチしてもらいました。

=つづく

ライター・夏森アキラの選挙漫遊記~桜を楽しむ春の選挙漫遊!大阪府知事選挙・大阪市長選挙の旅~(下)は明日公開します!お見逃しなく!

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