フレイル予防にアートはいかが 大原美術館 職員が観光プラン考案

フレイル予防につながる観光プランを発表する職員(右端)

 アート+運動で健康寿命を延ばそう―。大原美術館(倉敷市中央)が、加齢で心身の機能が衰える「フレイル」予防につながる観光プランづくりを進めている。取り組みの第一歩として、予防の基礎を学ぶ民間研修を職員が受講。美術館での鑑賞を軸に、美観地区一帯で体を動かせる体験型プログラムの構築を目指す。

 新型コロナウイルス禍で美術館と社会との新たな関係を模索する中で、福祉分野に着目した。展示室をゆったりと歩き、知的好奇心も刺激する絵画鑑賞は「フレイル予防に適しているのでは」(同美術館)と推察。公益社団法人地域医療振興協会(東京)と協力し、昨年11月から食事や運動など必要な知識を身に付ける研修を行ってきた。

 3月には、研修の終了に合わせ受講した職員6人が観光プランの案を発表。通常非公開の大原家旧別邸・有隣荘でのヨガ体験や、館内の作品を探し歩くスタンプラリー形式の鑑賞など、知恵を絞った企画を披露した。プランには、町歩きやヘルシーな食事メニュー提供など、周辺の他施設との連携を視野に入れた行程も組み込んだ。

 今後は協会のほか、フレイル予防をうたったツアーで実績がある神姫バス(兵庫県姫路市)とも手を組み、アイデアを基にした観光商品の開発を目指す。柳沢秀行学芸統括は「美術館が健康増進でも地域に貢献できる可能性を開きたい」と話している。

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