【DeNA】ドラフト1位松尾汐恩 センス非凡、ファームで打率3割1分6厘 1軍昇格への課題は

ファームで経験を積む松尾=3月30日、バッティングパレス相石スタジアムひらつか

 1軍に呼ばれる時期は決して遠くない。2軍戦での打撃を目にして、そう期待せずにはいられなかった。横浜DeNAのルーキー、松尾汐恩捕手(18)。春季キャンプから同行した1軍を離れ、3月7日からファームに合流した期待の星はイースタン・リーグ6試合で打率3割1分6厘、3打点(4月3日時点)と、ドラフト1位の潜在能力を存分に披露している。

 3月30日のイースタン・リーグ日本ハム戦。スタンドの観客がにわかに色めき立つ様が手に取るように分かるのが、「3番・捕手」でフル出場した松尾の打席だった。

 第1打席は外角低めのスライダーを泳ぎながらも中前に運ぶ。2死一、二塁で迎えた第3打席は高めに浮いた変化球を振り抜き、打球は左翼手の頭上を越える2点適時二塁打。第4打席は142キロ直球を中前にはじき返した。

 異なる投手、球種、コースをことごとくヒットゾーンに運んだスイングに、センスを感じさせる。当の松尾は「だいぶ慣れてきて、打てているし順調です」。妙な過信も行き過ぎた謙遜もなく、フラットだった。

 もちろん1軍昇格への課題はある。名門・大阪桐蔭高1年秋に捕手へ転向したばかり。相川チーフ作戦兼バッテリーコーチはキャンプ中、「成長のスピードはすごく速い。ただキャッチャーの基礎は物足りないところもある。月、年でやらなきゃいけない部分はある」と話していた。

 それでも2軍で達したい成績を問われると、松尾はきっぱり言った。「数字というよりも、やるべきことをやるだけ」。練習と実戦を積み重ねればおのずと成長する。そんな自信が言外ににじむ。今の目標は言うまでもなく、「できるだけ早く1軍に上がれるようにと思っている」。

 1月にも「まだあまり(挫折を)感じたことはない」とさらりと言っていた。プロ野球は厳しい世界。しかし、あっさりと1軍で活躍してもさほど驚かないと感じさせる非凡さが確かにある。

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