コロナ禍入社世代、職場での信頼関係をどう築く?Z世代の主張とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、“職場での信頼関係の築き方”についてZ世代とXY世代の論客が議論しました。

◆リモートが増えてきて、通常の業務においても信頼関係が築きにくい現状

今回の議論のテーマは、コロナ禍でリモートワークが当たり前となるなか、職場での信頼関係をどのように築いていけば良いのか。

Z世代の食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、「上司からの積極的な情報開示を」と訴えます。それは、上司の方から「私はこういう行動方針を持っています」「こういうことが好きです」といった自分の情報を積極的に出してほしい、と説明。

長内さん曰く、「リモートが増えてきて、通常の業務においても、信頼関係が築きにくい現状もある」と話します。

XY世代の生活経済ジャーナリスト・和泉昭子さんは、「例えば、私が(若者の)みなさんに自分のことを話し始めたら"なんだ、このおばさんは!?”"また始まった…”となると思う」と言い、「上司も孤独だし、(部下や年下の人に)声をかけてもらえると嬉しい。Z世代から先にお願いします」と望みます。

すると堀も「若手の頃には、上司は怖いもの、不用意に話しかけてはいけないと思っていたが、立場が変われば(若者のほうから)聞いてもらえるのは嬉しい」と同意。

そうした声に対して、長内さんは話しかけられない要因にリモートを挙げ、「リモートが当たり前になると、偶然のコミュニケーションがなかったり、在宅勤務だと見える化されていないのでちょっとレスが遅れただけでサボっていると思われたり。リモートで上司が見えないのは、Z世代からしたら話しかけづらくなる」と意見します。

◆若者は絵文字を使っていいのか躊躇、かたや上司も不安でいっぱい!?

Z世代の株式会社ABABA代表・久保駿貴さんは、職場での信頼関係を築く上で「普段聞かないような話を引き出すためにも"心理的安全性”が必要。職場内でどれだけ発言しやすい環境にあるのかが、ひとつの鍵」と持論を述べ、お互いの距離を縮めるためにも「普段のコミュニケーションを密接にとっていく必要がある」と話します。

久保さん自身、例えば、年配の方にメールを送る際、絵文字を使っていいのかなど気を遣うことがあるとし、「そうしたことを受け入れてもらえれば、僕らも(上司など上の世代の人と)簡単にコミュニケーションがとれる」との意見に、堀は「それは逆もある」と指摘。堀、和泉さん共々、下手に絵文字を使えば若者にバカにされるのではないかという不安があるようで、堀は若者にメッセージを送るときには極力フラットな文面にするよう心掛けていることを打ち明けると、久保さんからは「(文面が)句読点だけというのも、ちょっと怖い」との意見が。

また、堀からは「脱『すべき』」との主張が。「固定観念というか"こうするべき”、"なぜこうしないのか”と思ってしまうことがあるが、そうではなく僕ら上司側も変わらないといけない。悪気はないものの、それが圧力や上から目線になってしまう」と説明します。

和泉さんは、久保さんが挙げていた「心理的安全性」の保ち方に関して、トレーナー・コーチ・コンサルタントとして活躍したロバート・ディルツ氏が考案したという意識の階層を用いて解説。

その階層は下から「環境」、「行動」、「能力」、「信念・価値観」、「存在」となっており、上になるほど大切で、極論としては「"存在”だけを認めていれば、他はいじってもOK」と和泉さん。例えば、上司の長い話は"行動”、趣味の合わないネクタイは"環境”で、"存在”とは「あなたのことを大切に思っていますというような気持ち」と補足した上で「存在を否定し始めると、信頼関係はできない」と言い、これは若者だけでなく上司も同じように考えるべきで「上司も(飲み会では)自分の自慢話をせずに、聞かれたことに答えるだけであなたの存在は認められていると思わないといけない」と忠告。

この意見に「すごくわかる」と大きく頷いていたのは久保さん。「若者は承認欲求が強いというか、SNS世代で他と比較してしまうことが多い」と特徴を挙げ、「例えば、行動を注意された際、それは行動を否定しているだけなのに存在を否定されていると受け取ってしまうこともあるので、日々、存在を認め合うことが大事」と日常生活におけるコミュニケーションの必要性を再確認します。

◆職場の信頼関係を構築するためのポイントとは?

職場での円滑な人間関係をどう築いていくか。この問いに久保さんは、新卒社員にヒアリングしたところ「『対面で一緒に仕事をしたい』という意見が多かったので、全員同じ場所に集まって仕事をするようにしている」と話します。

新入社員とは年齢が近いものの、やはり経営者となると気を遣われることが多く、いかにラフに友達のようなコミュニケーションが取れるか考えているようで「普段のコミュニケーションができていれば飲み会でのコミュニケーションも楽しくなると思う」とも。

一方、堀は「職場の人間関係は、友達のように築く必要はない。プロジェクトで繋がれていればいい」と主張。なぜなら、あくまで職場は職場だから。「何をし、何が必要で、何がゴールで、そのためにどんなコミュニケーションをしなければいけないのかという設計ができていればいい。それがあやふやだと沈黙も繋がないといけないし、何か言っておかないとお互い不利益が生じるんじゃないかと思ってしまう」と力説。

最後に、今回の議論を経て職場の信頼関係をどう築くべきか、Z議会からの提言を、代表して長内さんが発表。それは「コミュニケーションの効率化を目指さないで」。

例えば、文面を相手に送る際、「こちら内容が違います。修正お願いします」ではなく、「ここは合っているんですけど、ここはちょっと違うので」と気持ちを加えるだけで、受け取る側も柔らかく捉えられ、気持ちや意図がより伝わると長内さん。「Z世代は業務連絡を短くしたほうがいいとか、コミュニケーションの効率化をしがちだけど、普段から気をつけないといけないし、それは上司側も同じ。そこがお互い信頼関係を築くポイント」と訴えます。

続いて、和泉さんからは3つの提言が。ひとつは「中身より回数」。「挨拶でもいいので、なんでも口にして言うこと」と言い、ふたつ目は「あえてオフ会」。コロナ禍前から全てオンラインで仕事をしているIT企業のベンチャーの方々に話を聞いてみたところ、月に1度はあえてオフラインで必ず会っているとの声があったと言います。そして、最後は「感情の言葉をひとつ入れること」。「これをやれば、コミュニケーションの上手い下手は関係なくなると思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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