<南風>台湾旅行

 このコラムもちょうど折り返し地点7回目。これまで10年以上前の転勤時のことを書かせていただいた。まだまだ話は続き当時を回想しているのだが、そんな最中にも大きな転機が訪れたので今回は沖縄での現在を書いてみよう。

 先月、久しぶりに3日間休暇を取り、友人の広告関係の方と弁護士の3人で台湾へ旅行した。きっかけは数カ月前、その弁護士が日本から出たことがないと話すので、コロナが落ち着けば台湾に連れていこうと、至って軽い動機だった。沖縄に来てからというもの、仕事もプライベートもこうして飲みの席で多くのことが決まっている気がする。

 台湾は親日の国として有名だが、街中は以前と変わらず、日本製品があふれ、日本のコンビニも点在している。職業柄、書店にも立ち寄ってみた。入口にはWBC直後で大谷翔平選手の本がずらり。メイン売場にはスラムダンクやコナンなどの漫画が並び、東京や大阪のガイド本も売場を占め、日本への関心の高さが伝わってくる。

 沖縄のガイド本も見つけて開いてみると、沖縄では日本人の観光客も来ないような所になぜアジア人が? という場面にしばしば遭遇するが、合点がいくほど詳しい内容で驚いた。そんな台湾から見た日本を垣間見られた旅だった。

 滞在中、中国からの観光客が多いのか、ずっと中国語で話しかけられるのだが、唯一カタコトの日本語で呼び止められた。「社長さん、社長さん!」。不覚にも? 立ち止まってしまった。フランス人の友人に言われたこんな言葉をふと思い出した。「日本人は“長”が大好き」。この台湾の人も同じことを感じているのであろう。話はそれるが、そんな私も25年間”店長”であったが、“長”が外れるときが来たようだ。新しい肩書になりますが、皆さま改めてよろしくお願いします!

(森本浩平、エグゼクティブ・プロデューサー ジュンク堂那覇店)

© 株式会社琉球新報社