ニホンミツバチの生態学ぶ 世界農業遺産推進協

ニホンミツバチについて学んだ世界農業遺産推進協議会の勉強会(和歌山県みなべ町で)

 みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会はこのほど、和歌山県みなべ町のうめ振興館で勉強会を開き、ニホンミツバチの生態についての理解を深めた。

 世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」の中で、花の少ない早春に咲く梅はニホンミツバチの貴重な蜜源となり、ニホンミツバチが梅の花の受粉を助ける役割も果たしている。地域ではニホンミツバチを増やそうと取り組む農家や有志もいる。

 講師は京都産業大学総合生命科学部の高橋純一准教授。協議会の里山保全や生産振興の専門部会委員ら参加者20人に、「ニホンミツバチの生態とすみやすい環境条件」をテーマに話した。

 特徴や生態について説明し、ニホンミツバチの巣箱を作る際の注意点としては、木材の材質は問わないが、薬剤処理がされていないことが基本で、新品の木材で作ったものには営巣しないので、完成から数カ月経過したものや、減菌をかねて火炎放射であぶった方が良いことを伝えた。

 巣の中は一年を通して34度で保たれ、厳冬期には週当たり1キロの蜂蜜を消費して発熱するなど温度調節をすること、ニホンミツバチの維持には温度管理が重要であることを解説した。

 主な死因としては蜜切れがあり、冬や夏は餌不足で餓死したり、巣を捨てて逃げたりしないように、注意して蜂蜜のたまり具合をみることも必要だと助言した。

 また、取り巻く環境として、資源となる花が足りない問題があることを挙げ「農地以外の場所で資源となる花をいかに確保していけるかが重要な課題」だと強調。

 生息していく上では、蜜源となる植物が春から秋に常にあること、巣を作るための大木の洞があること、ない場合には巣箱を置いてあげることだといい「ニホンミツバチは趣味と環境保全を兼ねた養蜂に適しており、ぜひうまく増やしていただければ」と呼びかけた。

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