よゐこ有野、払っている【税金】にショック隠せず「えげつない…」

お笑い芸人・よゐこの有野晋哉さんが、毎月さまざまな専門家をゲストに迎えて、お金の知識を身に付けていく「お金の知りたいを解決!お金の学園〜学級委員・よゐこ有野晋哉〜」。2023年4月は会計士・税理士でYouTuberの山田真哉先生に「税金」について、弁護士でタレントの三輪記子さんと一緒に伺いました。


三輪記子(以下、三輪):有野さん、おはようございます。

有野晋哉(以下、有野): やぁ三輪ちゃん、おはよう!

三輪:ど……どうしたんですか? 今日はやけにさわやかですね。

有野:いや、今年も確定申告が終わったなぁ~って。

三輪:あれ、前に税理士さんにお任せしている、って言ってませんでした?

有野:任せているけどね〜、それでも20代の頃は自分でやって、大阪の福島の税務署に行ってたで。その頃の癖で毎年、確定申告が終わると気分的にスッキリするのよ。申告と同時に、今年の納税スケジュールも来るやん。んで、憂鬱になる。そこまでがセットやね。人生を軸で考えなアカンねんけど、1年の出費の軸がね、税金に保険、子どものなんじゃ、と出費しか分からへん。それにしても、税金ってどうしてこんなに複雑なんやろねぇ〜。二重課税とか問題になってるみたいやし、もっとシンプルにできへんもんかね?

三輪:それは私も思います。

有野:この前も、YouTubeの撮影用に会社の経費で700円のくじで当たるフィギュアを買ってんけど、その中のフィギュアのいくつかにプレミアムがついて、2〜3万円くらいになってるやつが結構あってん。

三輪:すごい、めちゃくちゃ値上がりしてるじゃないですか!

有野:そしたら税理士さんに「値上がりしたやつを合算すると結構な金額になるので、売る時には税金がかかると思います」って言われてんけど、もともと買った時に消費税払ってるのに、なんで追加で払わなアカンの?

山田真哉(以下、山田):有野さん、するどい視点ですね! そのケースでは、売却したら「利益」として計上する必要が出てくるので、税金がかかってきますね。

有野:わぁ、びっくりした! え、売ったら利益として申告するってことは、売らんかったら大丈夫ってことですか?

山田:そうですね。いまのところは売らなければ税金は発生しません。ただ、将来的にはかかるようになる可能性がありますね。

三輪:へぇ~、そうなんですね。確かに、税金ってしょっちゅうルールが変わっているイメージです……って、今回の先生ですか?

山田:そうです、突然失礼しました。わたくし、会計士・税理士でYouTuberの山田真哉と申します。4月のお金の学園では、いま話されていた「税金」についての授業をしたいと思います。

有野:おぉ~、グッドタイミング(笑) 助かる〜。

自分の生活に密接な税金を知ろう

三輪:いまのお話ですが、弁護士の観点ですと不動産などの固定資産について税金がかかるのは自然だと思うんですよ、不動産の所有者は登記が必要になりますし。

有野:でも、フィギュアとか全部に税金がかかるのは、自分の趣味を覗かれているようで嫌です。

三輪:美術品とか、国に自分の所有物を把握されてるようなイメージになるので、一般的な感覚だと、監視されているみたいで気持ちが悪いと思ってしまうのも理解できますよね……。

有野:さすが弁護士さん! 僕に寄り添った考え。

山田:細かい前提条件などはありますが、美術品なども10万円以上のものに関しては、基本的に「固定資産台帳」に記載する必要があるんです。国も、その台帳をベースに税金をかける、ということなんですね。

有野:でも、フィギュアは美術品とは違いますよね?

山田:「趣味」であれば税金はかかりませんが、それを経費として計上すれば話は変わってきます。

有野:以前、有名な漫画家さんの原画をいただいたんですが、それは買ってもいないわけなので、税金はさすがにかからないですよね、先生?

山田:その場合、税金は発生しません。もっとも、相続の時に時価評価されるので、相続税が発生する可能性はありますね。

有野:うわぁ、じゃあ僕が死んだ時に、「このフィギュアは思い出だから取っておこう」ってならず、「まとめて売ってまえ」ってなったら、相続税がかかるかもしれへんのや。……なんか、切ないなぁ(笑) でも、欲しい人の所に行って欲しいしって考えたら、元気な内に手放す方がいいな。でも、まだ飾っておきたいしな〜……いや、でもなぁ……。

山田:さて、そろそろ本題に入りましょう! ここまでお話したように、「税金」というのはさまざまなものに発生します。労働に対しては所得税、購買に関しては消費税、「住む」場合は……有野さん、わかりますか?

有野:なんかクイズ番組みたいやん(笑) え~っと……住民税ですか?

山田:正解です! ほかに、所有に対しては固定資産税や自動車税がありますね。ほかにも、酒税やたばこ税、ガソリン税。法人税など、税金には非常に多くの種類があります。

有野:こうやって改めて並べてみると、えげつない数の税金を納めてるなぁ。これ全部を払ってるの? 食べ物買って消費税、温泉入って入湯税、物貰っても贈与税。何かすると税金払ってるやん! アイテム拾っても税金のかからへんゲームの世界に住みたい。

三輪:もちろん払わないといけない税金は払いますけど、払う必要がない税金はなるべく払いたくないというのが市民の本音だと思います。そう考えると、どんな税金があるのかについて、ちゃんと知っておくのは大事ですね。

山田:納税は国民の義務なので、当然ですが避けることはできません。ただ、正確な知識を持つことで、税金の種類によっては納税額を減らことも可能です。

どんどん変化する「税制」

有野:そもそも税金って、どうして納めるようになったんですか? 僕が子どもの頃って、消費税なんてなかったですよ。駄菓子屋さんの計算も簡単やった。

山田:国民への税金は、昔は固定資産税が主でした。つまり、「年貢」です。ところが、戦争をするために資金が必要になり、所得税をはじめとした、さまざまな税金が設けられました。税金は、原則的に「公平・中立・簡素」という観点で成り立っていて、「ここだけに税金をかけたら不公平だな、じゃあこっちにも税金をかけよう」となり、どんどん種類が増えていったわけです。

三輪:まったく「簡素」ではないと思います(笑)

有野:おお、さすが弁護士さん! 入り方が「逆転裁判」みたいやん。

山田:ご指摘の通りですね。公平と中立ばかり重んじられて、簡素という理念は欠けているのが現実だと思います。

有野:でも先生、簡素を目指していたわけでしょ? なんで、こんなことになってしまったんですかね?

山田:あちこちからの声を全部拾っているからでしょうね。こっちの話を聞いたから、今度はあっちの話を聞こうとなり、それがどんどん新たに反映されていくので、現在のような複雑なものになっていったわけです。

三輪:税理士さんのような専門家でも、すべてを把握するのは大変じゃありませんか? 弁護士の世界も似たようなものなので、その大変さはよくわかります。

有野:自ら出た、そうなんですよ。三輪ちゃんは弁護士です! 同じ生徒の立場だから、すぐ忘れてまうわ。

山田:今年、2023年10月から始まる「インボイス制度」もそうですが、新しい税制が始まったり、ルール変更が日常のように行われたりするので、常に情報をアップデートしていないと、すぐに取り残されてしまいますね。なかには、きちんとアップデートできていない税理士の方もいるかもしれません。

有野:先生、プロでもわからんのやったら、僕ら素人にはどうしようもないですやん!

山田:おっしゃる通り、すべての税制を把握するのはさすがにハードルが高いでしょう。しかし、自分に関わりが深い税制だけに絞れば問題ありません。なので、今回は数多くの税金の中から、みなさんの生活に密接な関わりがある、「固定資産税」「住民税」「自動車税」について、主にお話していきたいと思います。

有野:さすが先生、痒いところに手が届く(笑)

三輪:私は弁護士として、遺産分割案件を多く担当するので、特に相続税が気になりますね。

山田:それは次回、たっぷり解説していくので、楽しみにしていてください。

三輪:おぉ~、グッドタイミング!

有野:三輪ちゃん、それ俺のセリフやから! 次にそのセリフ使ったら消費税払ってや(笑)

次回(4月11日配信予定)は「固定資産税」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。

山田真哉
山田真哉事務所代表、公認会計士・税理士・芸能文化税理士法人会長。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て独立。小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は165万部を超えるベストセラーを記録した。個人のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」は登録者数約60万人。公職として2016年から内閣官房行政改革推進会議WG委員、株式会社ブシロード等の監査役を務める。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

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